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事務所だより

~15周年特集 工事現場転落事故の事案~

2016年3月23日

1 事案の概要
 マンション外壁塗装工事の転落事故 労働者X(24歳 勤続)さんが、足場(地上約8メートル)から転落して頭部を強打し、脳挫傷。脳高次機能障害の後遺症を負い、寝たきりの状態になりました。妻と二人の幼い子がいる方でした。労災認定は受けましたが、事故現場の安全対策が全くなされていないと考えられたため、会社と元請け会社に損害賠償を請求する調停を提起しました(本人は、判断能力喪失のため後見人が申立人)。

2 元請の責任
 直接の雇用先である下請け企業は零細企業で賠償能力がないため、元請け会社の安全配慮義務違反の有無が主たる争点に。元請けは、労働安全衛生法、施行規則等を遵守し、足場、安全帯、親綱等の安全設備に瑕疵はない、Xさんが足場を使わず三回足場から二回足場に移動しようとしたために発生した事故であり、労働者の過失であると主張しました。

3 調停の経緯
 取り寄せた労災認定資料等を調査した結果、足場のはしごに安全ネットが緊結されていたため、作業員が足場からはしごへスムーズに移動できない状態であったこと、足場の床板の幅が基準より狭かったこと、被災者だけでなく他の作業員も同様の方法で足場3層目から2層目に手すりを乗り越えて降りていたにも関わらず現場監督は何等注意せず黙認していた事実等が判明したため、これに基づき元請け会社の責任を追及しました。 最終的には、調停委員会から、主として元請けの足場管理に事故原因があり、労働者の過失は小さいという事実認定を前提とした和解案が提示されたため調停成立となりました。

当事務所は、上記の外、工事現場における転落による労災事故について多くの経験を蓄積しています。

弁護士 長谷川一裕

名古屋北法律事務所きた事務所(名古屋市北区平安2丁目1-10第5水光ビル3階 TEL052-910-7721)

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