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事務所だより

~15周年特集 解雇 派遣労働者の解雇事件

2016年10月11日

1 2008年9月のリーマンショックを皮切りに、全国で派遣切り(派遣先会社が派遣労働者の受入れを中止すること)が繰り返されました。製造業が盛んな愛知県でも派遣切りが横行をし、事務所弁護士も派遣村等の活動に従事しました。派遣労働者は労働契約を締結する相手と指揮命令をする者が別になっているため、派遣労働者は正社員がやらないようなつらい仕事を命じられたり、景気が悪くなると雇用の調整弁とされ易いという点があります。今回ご紹介をするのは、派遣労働者に対して行われた解雇の事件です。

2 この派遣労働者は派遣先の研究業務に従事をして、部品の設計などの業務に従事していました。この派遣労働者はいわゆる常用型派遣という、派遣会社に継続的に雇用され、派遣先で業務を継続するという形でした。この労働者は、派遣先の業務を終了し、待機状態に入りましたが、待機期間中、次の派遣先などを十分に探してもらう事が出来ず、また、新たな派遣先に必要な技能の研修などを受けることが出来ず、最終的に派遣先が見つからないと言うことで解雇をされてしまいました。派遣労働者自身には、派遣先に関する情報はありません。また、自分で必要な技能を勉強するのにも限界があります。そのため、派遣会社はどのような派遣先が良いのかを労働者ときちんと協議をすべきです、必要な技能が足りなければ研修などを受けさせるべきなのです。しかしながら、実際には派遣会社にとって、派遣労働者はモノ扱いをされ、そのようなコストを払うことを嫌い、何かしら理由をつけて労働者を解雇することが多くあります。

3 裁判では、派遣会社が十分な研修、派遣先の探索を行わなかったという点に集中的に立証をしました。会社側は派遣労働者の技能、コミュニケーション能力等が劣っていたという主張をし、労働者に秘密のうちに取得をした派遣先のアンケートなどを提出するなど、なりふり構わない主張をしました。ただ、待機期間中に十分な派遣先探索を行わなかったことは会社側にとって致命的で有り、最終的に、解雇無効を前提とした和解を勝ち取ることが出来ました。

この事件は、単なる解雇事件と言うだけで無く、派遣労働者の問題点が非常に良く現れた事件であったと言えます。

名古屋北法律事務所では所属弁護士が解雇をはじめとした労働事件に積極的に取り組んでいます。詳しくはこちら

弁護士 白川秀之

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