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事務所だより

~15周年特集 危急時遺言作成-民法976条の遺言書作成により生前世話 になった夫の親族に遺贈できた事例

2016年4月19日

-年末の緊急相談-
 ある年の仕事納めの日、知り合いの医師から緊急の相談がありました。お話を伺うと、「自分の受け持ちの患者さんで、状態が良くないのでこのまま退院できないかもしれない人がいる」「ある程度の財産があるようだが相続人がおらず、親身に世話をしてくれた夫の親族に全財産を譲りたいと言っている」という相談でした。
 すぐに病院に行ってその方にお会いすると、意識ははっきりしていてお話はちゃんとできて、「よく面倒を見てくれた夫の弟に全財産をあげたい」とはっきりおっしゃいました。けれども、字を書くことができないほど体は衰弱しており、自筆遺言証書や秘密遺言証書を作ることはできない状態でした。まだまだお元気そうで一日を争うほどではないと思ったので、年明けに公証人に病室まで来てもらって遺言書を作ってもらいましょうか、という話をしてその日は帰りました。

-突然の容態悪化と危急時遺言-
 ところが年末年始に急に容態が悪化し、1月4日に病院から電話があり、すぐにでも遺言書を作成したいとのことでした。そんな急には公証人も間に合いません。
 そこで思いついたのが、民法976条の死亡危急時遺言です。死亡危急時遺言とは、「死亡の危急に迫った者」が遺言をしようとする場合の特別規定で、遺言者が口頭で述べることを三名の証人が聞き、そのうちの一人がそれを書き取って、ほかの証人が間違いないことを確認し署名捺印するという特別な方式の遺言です。
 翌1月5日に、私を含め証人三人(私以外は主治医と当事務所の事務員)が病室で遺言者から話を聞いて、その内容を書面にまとめ、遺言書を作成しました。

 ほっとしたのもつかの間、この遺言書作成で安心したのか、翌1月6日に遺言者は亡くなられました。ぎりぎり間に合った、という感じでした。自分の財産をお世話になった人に遺したいという最後の意思がかない、本当に良かったと思います。

名古屋北法律事務所では所属弁護士が積極的に相続や遺言、成年後見に関わっています。詳しくはこちら

弁護士 伊藤勤也

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