カスタマーハラスメント
2025年10月1日
最近、ニュースなどで耳にする「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とは、客の立場を利用して、顧客が企業やその従業員に対して不適切な要求や言動を行う行為を指します。例えば、「机を叩いて、店員を怒鳴りつける」「従業員に土下座を強要する」「不手際のお詫びに、店舗の商品を無料で提供するようにしつこく要求する」などが典型例です。
その内容によっては脅迫罪(刑法222条)、強要罪(223条)、威力業務妨害罪(234条)、恐喝罪(249条)、などに該当する可能性があります。また、企業は、安全配慮義務に基づき、従業員をカスハラから守る責任があります。
では、カスハラを受けた際はどうすべきでしょうか。まずは記録を残すことが重要です。日時、発言内容、相手の言動などを詳細にメモし、可能であれば音声や映像の記録も残しましょう。次に、上司や人事担当に報告し、会社全体での対応を求めることが必要です。会社側は、対応マニュアルや方針を整備しておくことが望まれます。
愛知県では、カスタマーハラスメントの防止条例が定例議会にて可決され、今年10月1日から施行されます。同条例では、何人もカスハラを行ってはならないこと、事業者はカスハラを行った顧客らに中止を求め、適切な措置に努めること等が定められています。また、愛知県はカスタマーハラスメントを防止するためのガイドラインの作成を進めています。
顧客と従業員等が対等な立場において、お互いを尊重することが期待されます。
弁護士 坂輪萌子(名古屋北法律事務所)
(「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転機しています)