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知って得する法律情報

デジタル遺産の相続

2026年2月16日

 近年、財産の管理はスマートフォンなどの電子機器でやっているという方が増えています。スマートフォン一つでなんでもできる時代になったのは便利ですが、他方で人が亡くなったときに故人のスマートフォンの中にある財産の情報に遺族がアクセスできず困ってしまう、という問題が起きています。

 人が亡くなると遺族は故人の遺産を相続することができますが、電子マネーや暗号資産、ネット銀行や証券会社の口座など、故人がデジタル空間で管理していた遺産(デジタル遺産)の有無を遺族が知らない、有ることは分かっていても情報を入手できない、ということがあります。デジタル遺産は通帳などの紙の記録がないことが多いので、見つけるのは苦労します。遺族が故人のスマートフォンを自在に操作できれば良いですが、家族にロック解除のパスワードを教えているという人は少ないでしょう。間違ったパスワードを複数回入力するとロックを解除できなくなったり、データが消えてしまう設定になっているスマートフォンもあります。ロック解除を専門にしている業者もいますが、費用がかかります。

 このようなことを避けるためには、デジタル遺産があること、その情報を得るために必要なログインID、パスワードなどを家族に教えておけば良いですが、抵抗感がある人もいるでしょう。少なくとも、緊急時に家族など信頼できる人がデジタル遺産関連の情報を入手できるようにする方法を日頃から話し合っておくことは重要です。同時に、デジタル負債となってしまうようなもの、例えば、解約しないと永久に料金を請求されてしまうサブスクサービスに加入している場合は、家族に伝えておいたほうがいいでしょう。

 デジタル遺産の有無が分からない場合、金融機関に情報開示を求めることも考えられます。各金融機関が求める手続を経れば情報が開示されることが一般的ですので、諦めずに問い合わせをしてみることをお勧めします。

弁護士 中島万里(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)

 

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