再審制度の問題点
2026年6月1日
刑事再審制度とは、有罪判決が確定した後、新たな証拠などにより冤罪(えん罪)の疑いが生じた場合に、裁判をやり直す制度です。現在の再審制度は、えん罪救済の最後の砦でありながら、その機能が十分に果たされていないとの批判が強く、刑事訴訟法を改正しようという動きがあります。今回は現行の再審制度の問題点を解説します。
現在の再審制度の問題点の第一は、再審開始の判断基準が厳格である点です。刑事訴訟法は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」がある場合に再審を認めるとしていますが、この要件の解釈が厳しく、実際には新証拠が提出されても再審開始決定(裁判所が裁判のやり直し(再審)を認める決定)に至らない例がほとんどです。再審開始決定が出され、再審をするということになっても、有罪判決が無効になるわけではなく、改めて裁判を行って有罪無罪を判断するものですが、そのやり直しの裁判を開くかどうかの段階で非常に高いハードルを設けています。
第二に、証拠開示制度の不十分さが挙げられます。えん罪事件では、捜査機関が保有する証拠の中に無罪を示す重要資料が含まれていることがあり、それらが開示されたことが決め手となり、再審開始となった事例もあります。しかし、現在の制度では、検察官に全面的な証拠開示義務がなく、弁護士側が必要な証拠にアクセスできないことが問題視されています。
第三に、審理の長期化も深刻です。再審請求から再審開始決定まで何年、時には何十年も要することがあり、その間に請求人が高齢化し、死亡する例もあります。なお、長期化の原因として、裁判所が出した再審開始決定に対して、検察官が不服申し立てをすることが認められている点も理由に挙げられます。
現在(※執筆時の2026年4月末時点)、法務省が再審制度見直しのための刑事訴訟法改製の修正案を作成している状況です。布川事件、袴田事件といった再審開始まで40年以上を要した事案もあり、国民の関心も非常に高まっています。裁判官も人である以上、判断を誤ることがありますが、それが是正できるようにしていく必要があります。えん罪を防止するという再審制度の根本に立ち返った制度にしていくことが求められています。
弁護士 白川秀之(名古屋北法律事務所)
「新婦人北支部・機関誌」へ寄稿した原稿を転機しています


