共同親権になったら ~ 離婚すれば支配から逃れられる?
2026年9月16日
2026年4月から、離婚後の親権について「共同親権」が導入され、父母双方を親権者とする共同親権か、一方だけを親権者とする単独親権かを子どもの利益を考えて決める制度になりました。
共同親権と聞くと、「離婚しても父と母が一緒に子どもを育てる、より平等な制度」と感じるかもしれません。実際、離婚後も両方の親が子どもの養育に責任を持つことには大切な意味があります
しかし、すべての夫婦が「協力できる関係」でしょうか?
DVのある家庭では、夫婦の力関係が対等ではないことがあります。暴力は殴る・蹴るといった身体的なものだけではなく、怒鳴る、脅す、監視する、お金を制限するといった心理的支配や経済的暴力も含まれますが、離婚したからといって、その支配が自動的になくなるとは限りません。
共同親権では、重要な事項について父母がともに親権を行使することが原則となり、意見が対立すれば、家庭裁判所での手続が必要になる場合もあります。離婚後も相手との連絡や協議を求められることが、DV被害を受けた人にとって新たな負担や危険になる可能性があります。
改正法もこの問題を無視しているわけではありません。子どもへの虐待のおそれがある場合や、DVなどによって父母が共同して親権を行うことが困難な場合には、裁判所は単独親権としなければならないとされていますが、重要なのは、「見えない暴力」をどう見つけるのかということです。DVは家庭という閉ざされた場所で起こり、証拠が残らないこともあります。また、被害を受けた人が、相手への恐怖から本当のことを話せない場合もあります。
「父母の平等」という観点とともに、子どもとDV被害者が安全に暮らせること。そのために、離婚後も続く支配をどう断ち切るのかという視点が大切です。
弁護士 長谷川一裕(名古屋北法律事務所)
「新婦人北支部・機関誌」へ寄稿した原稿を転機しています


