中小企業メールマガジン No.3
2010年5月11日
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 弁護士法人名古屋北法律事務所 ホウネット 中小企業メールマガジン No.3(5月10日発行) _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 目にもまばゆい緑の季節となりました。みなさま、いかがお過ごしでし ょうか。 本メルマガも、みなさまに支えられて3回目の発行となりました。 このメルマガの情報が、少しでもみなさまにお役に立てればと思いま す。 ∞∞∞I N D E X∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ○コラム ◆◇「弁護士の現場から(2)」◇◆ 『―社長のやさしいまなざしー ある国選刑事事件から』 弁護士 長谷川一裕 ◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆ 『労働者の健康と安全(3)』 弁護士 加藤悠史 ○行事案内 ○編集後記 ■□コラム━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇◆◇「弁護士の現場から(2)」◇◆◇◆ 『―社長のやさしいまなざしー ある国選刑事事件から』 弁護士 長谷川一裕 中小企業の社長さんたちとのおつきあいは、民事事件だけではありま せん。国選弁護人として刑事事件を担当すると、いろいろな会社の社 長さんにお会いします。 昨年担当したある刑事事件ですが、駐車場の案内整理のための小さ な人材派遣会社でアルバイトとして働いていた学生が勤務先のスー パーで強盗未遂事件を起こしたという事件がありました。学費が払え なくなり、どうしようもなくなって起こした事件でした。自社の派遣した社 員が、派遣先で強盗未遂事件を起こしたのですから、会社の信用失 墜です。会社は、派遣先から200万円以上の損害賠償を求められ、 損害を受けました。 私は、勾留された被疑者に替わって謝罪し、弁償の話をするため、こ の派遣会社に出向き、社長にお会いしました。怒鳴りつけられても当 然です。ところが、社長は(女性でした)、会社がいかに苦境に立った かを話され、また賠償金について全額とは言わないが一定の弁償はし てもらうことになるという当然のお話をされた後、「被疑者を何とか助け られないか」とおっしゃるのです。 被疑者が、約3年間いかに真面目に働いていたか、同僚に対する思い やりがあったか等を話してくださり、また「自分は肉親ではないが、A君 の社会的な保護者と思ってきた」、「自分たちでできることはないか」と いうのです。会社は、賠償金まで払わされた事実上の被害者であるに も関わらず。事務所には、同僚もいましたが、こもごもA君の真面目な 仕事ぶりを話してくれました。賠償金を取られて自分たちのボーナスが 減るかもしれないというのに。 社長さんは、私と一緒に検察庁に出向いてくださり、検事に穏便な処 置を御願いしたいと頭を下げられました。月末の忙しい時期でしたが、 わざわざA君のために時間を割き、被害者でありながら、被疑者を許 してやってほしいと検察官に頭を下げられたのです。その警備会社は 、ようやく経営が軌道に乗ってきたところでした。せっかく築き上げた会 社の信用を失い、社長にとってもとても悔しい思いがあったと思います が、A君という人間を信頼し、その苦悩に共感、同情し、その社会復帰 のために努力を惜しまなかった社長の姿に私は胸が熱くなる思いでし た。 こんなことは、大きな企業は決してやってくれません。私は、こんな時 にも、「中小企業こそ人間らしい社会を実現する上で大切な社会資源 なんだ」と実感するのです。 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ ◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆ 『労働者の健康と安全(3)』 弁護士 加藤悠史 労働者の健康と安全をテーマに連載をしていますが、今回からは労 働安全衛生法(労安法)の具体的規定をみていきたいと思います。 最初は、労働者の健康確保の基本である「健康診断」についてです。 みなさんの会社では、社員さんの定期健康診断を行っていますか? 実は、これはすべての事業者に課せられている義務なのです。 労安法では、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるとこ ろにより、医師による健康診断を行わなければならない」(労安法66条 1項)とされていて、さらに、厚生労働省令で(1)雇入れ時の健康診断 と(2)1年以内ごとに1回の定期健康診断が義務づけられています。 この義務違反には刑罰も科せられています。 毎年、健康診断を行うことは、労働者の疾病を早期に発見し、これに 対処していくために必要不可欠であると考えているわけです。労働者 の健康がいつの間にか悪化して、突如、不測の事態が起きたとすれ ば、業務に支障が出る可能性がありますから、定期的に労働者の健 康を管理することは会社にとっても大事なことですよね。 では、健康診断で健康上の問題点が発見された場合については、どう すればいいでしょうか。事業者は、医師の意見を参考にして、就業場 所の変更や作業の転換、労働時間の短縮などの措置を講じなければ ならないとされています(労安法66条の5)。措置をとったとしても労働 者を働かせる以上、使用者には健康に配慮する義務が発生しますの で、私傷病による休業をさせて対応する方がよい場合もありえます。 普段から、働く人のことを気遣って、健康診断くらいは当たり前に。もし 実施していないなら、年度替わりのこの時期に、ぜひ始めてください。 ■□行事案内━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇「春の連続法律講座」◆◇ テーマ 「中小企業における労働法」 日 時: 5月12日(水)18時30分〜 講 師: 弁護士 加藤悠史 会 場: 名古屋市北生涯学習センター 従業員を雇用するうえで、労働基準法を知らないと思わぬ紛争を招く こともあります。労働時間管理と割増賃金の基礎知識をお話します。 どなたでも、無料でご参加いただけます。参加される方は申し込みの 連絡をお願いします。 ★お申し込みは、 事前にホウネット事務局(名古屋北法律事務所内)まで 電話 052-910-7721 ■□編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5月の連休にニューヨークに行ってきました。5月3日から行われる核 拡散防止条約に向け、被爆者と日本の平和団体が行った取り組みに 参加するためです。世界各国からの参加者と一緒に、マンハッタンを デモ行進。「ノーモアヒロシマ ノーモアナガサキ ノーモアヒバクシャ」 の声がビル群の間をこだましました。 フリータイムを利用して、ウォール街見学、ニューヨークの裁判所の刑 事裁判を傍聴しました。ニューヨーク証券取引所の周辺には金融機関 のビルが林立していましたが、ここで行われた博打まがいの金融取引 が世界に激震を与えたのだと感じました。 宿舎がタイムズスクエアの近くでしたが、爆弾を積んだ自動車から煙 が立つ騒ぎがありました。ホテルからすぐ近くだったので驚きました。 パキスタン出身の男性が逮捕され、テロ行為を目論んだ可能性が大 きいようです。世界の激動の真っただ中にいるような感覚でした。 2010年5月10日 弁護士 長谷川一裕 当メールマガジンにご感想や御意見がございましたら、下記アドレス にて返信してください。 ↓↓↓↓↓ご感想や御意見はこちらから↓↓↓↓↓ hounet-sme@kita-houritsu.com ↓↓↓↓↓ブログのバックナンバーをご覧いただけます↓↓↓↓↓ https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 中小企業メールマガジン No.3 5月10日発行 発行日:月2回・月曜日発行(休刊:祝日、年末年始など) 創刊日:2010年4月5日 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【発行元】 ===== 弁護士法人名古屋北法律事務所 ====== ====== 暮らしと法律を結ぶホウネット ======= ─┌──┐ 〒469-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル ─│\/│ TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ─└──┘ MAIL: hounet-sme@kita-houritsu.com HP:http://kita-houritsu.com/ Copyright(C) 名古屋北法律事務所 All rights reserved.