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メールマガジン

ホウネットメールマガジン Vol.21

2012年1月13日

◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆◆◆  ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆◆◆   ★ホウネットメールマガジン★  vol.21  2011年11月24日配信 ◆◆    ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ _/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 1 ワンポイント実務知識 交通事故 逸失利益 弁護士 山内益恵   2 ワンポイント実務知識 消費者問題 弁護士 伊藤勤也 3 裁判・司法情報 4 行事案内  5 編集後記 ┏━┓                   ┃ 1┃ ワンポイント実務知識 交通事故(5) 逸失利益 弁護士 山内益恵 ┗━╋…───────────────────────────── 今回のテーマである逸失利益は、休業損害(第4回)などとともに人身損害にお ける財産的損害のうちの「消極損害」、すなわち「被害者が事故に遭わなければ 得られたであろうと考えられる利益」のひとつです。 そして逸失利益として損害賠償の対象となるのは、死亡した場合もしくは後遺障 害(第3回)が残った場合に、死亡日ないし症状固定日(18歳未満の未就労者 は原則18歳)以降の「事故がなければ得られたであろう給与・収入等」です。 後遺障害逸失利益の計算方法は第3回で説明したとおりで、原則的には、(1)被 害者の基礎収入に、(2)労働能力喪失率と(3)労働能力喪失期間に対応するライプ ニッツ係数を乗じて算出します。 死亡逸失利益の場合は、100%労働能力を喪失しますので、労働能力喪失率は 問題になりませんが、亡くなった方には食費等の生活費がかからなくなることか ら、その分を差し引くことが公平だと考えられていて、実務上、(1)被害者の基 礎収入に、(2)(1−生活費控除率)と(3)労働能力喪失期間に対応するライプ ニッツ係数を乗じて計算する方法が定着しています。 生活費控除率は、実務上、一家の支柱(稼頭)で一人扶養していれば40%、2 人以上扶養していれば30%、独身男性は50%、主婦や独身女性は30%など といった基準があります。 ではここで、年収500万円、50才で妻子を扶養していた会社員男性が、交通 事故で死亡したケースの死亡逸失利益を計算してみましょう。 (1)被害者の基礎収入は500万円です。 (2)生活費控除率は、一家の支柱(稼頭)で2人以上扶養していますので、一般 的には(1−0.3)です。 (3)労働能力喪失期間を考える場合、67才までを労働できる期間と考えますの で労働能力喪失期間は67−50=17年、これに対応するライプニッツ係数は 計数表によれば、11.2741です。 (4)よって、逸失利益の計算式は、【500万円×(1−0.3)×11.2741】   答えは、金3945万9350円となります。 ところで逸失利益は将来にわたる収入が問題になっており、金額が大きい反面、 予測に基づく不確定なものでもあるため、保険会社との交渉や訴訟などでも、よ く争われるところです。 たとえば、基礎収入の算定は、休業損害(第4回)と同じで、原則として実際の収入 を元に計算しますが、実際の収入で計算することが合理的でない場合には、賃金セ ンサス(厚生労働省が発表している勤労者の平均賃金統計の数値)を参考にして、 基礎収入を決める場合もあります。事業者や芸能人、フリーターなどで収入が不安 定な場合や、主婦、学生、無職者、障害者の場合など、個別の事情(しかも将来の) をどこまで反映させるかは難しい問題です。 死亡逸失利益の場合は、生活費控除率の妥当性についても問題になります。 後遺症逸失利益では、労働能力喪失率は後遺障害の等級によって決まり、等級が 1つ違えば逸失利益に大きな差がつきます。したがって、被害者側とすれば、き ちんと後遺障害の認定をしてもらうことが重要になります。労働能力喪失期間が 問題となるケースもあります。 ┏━┓               ┃2 ┃   ワンポイント実務知識 消費者問題 弁護士 伊藤勤也  ┗━╋…─────────────────────────────  【小麦加水分解物を含有する「旧茶のしずく石鹸」による健康被害について】 「茶のしずく石鹸」という名を聞いたことがあるでしょうか。 株式会社悠香が販売していた商品で、美肌効果があるとしてテレビCMでも宣伝を 行い、大々的に販売してきました。 しかしながらこの石鹸には小麦加水分解物が含有されており、これが小麦アレルギ ーの原因物質となって、皮膚障害から重篤な意識障害など多様なアレルギー症状 を引き起こしていることが報告されています(但し、2010年12月7日以降は該当物 質を除去したようです)。 問題が深刻なのは、以前から小麦アレルギー体質だった方だけでなく、小麦アレル ギー体質ではなかった方にも新たにアレルギーが発症し、突然小麦含有食物(パン 、うどん、そば、スパゲッティ、お好み焼き、等々)を食べることができなくなってし まったという点です。 このような被害の大量発生を受けて、2011年5月20日には販売会社が自主回収 を発表するなど、大きな社会問題にもなっています。 ところで、この「茶のしずく石鹸」によるアレルギー障害については、2010年7 月ころからアレルギー反応を指摘したとの報告もあるのですが、その後も十分な調 査をせずに販売を続けていた販売会社悠香の責任は重大です。 そのため各地で、株式会社悠香に対する損害賠償請求を検討して弁護団が結成さ れており、愛知県でも弁護団が結成されています。 茶のしずく石鹸でアレルギー症状が出たが、どのように対応したらいいか分からな いと困っている方がいたら、下記弁護団に連絡してみて下さい。  「茶のしずく石鹸」被害救済愛知弁護団ホームページ   http://blog.chaben-aichi.jp/  (参考)本件に関する国民生活センターの資料   http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110714_1.pdf ┏━┓                                ┃3 ┃裁判・司法情報  事務局 長尾忠昭         ┗━╋…───────────────────────────── 1  86年福井女子中学生殺人事件 30日に再審の可否判断      検察、弁護側に伝える 高裁金沢支部   http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK20111117020 00181.html   ようやく決定が出されます。再審開始決定となることに確信しています。   暴力団員の供述など,検察,警察の誘導により,前川さんが犯人に仕立てあげ  られました。   再審開始決定の場合,「異議申立するな」と名古屋高検への要請行動を行いま  す。 2 少年院退所後、再犯4割 無職者は高割合   http://www.asahi.com/national/update/1111/TKY201111110150.html   日本の社会全体で少年らを暖かく援助することができないと,少年院に入っても  同じ事が繰り返されるばかりだと思います。 3 携帯GPS情報使って容疑者居場所割り出し 通知が条件   http://www.asahi.com/national/update/1031/TKY201110310690.html   非常にプライバシーにかかわる問題です。日弁連が意見書を提出しています。  http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110826.html ┏━┓                                ┃4 ┃行事案内         ┗━╋…───────────────────────────── ホウネット 市民向け法律講座  テーマ「高齢者の消費者被害」  講師:弁護士 「 明玉  2011年12月6日(火)14〜16時  名古屋市北生涯学習センター ■ 編 集 後 記  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 被爆者支援ネットは,原爆症認定集団訴訟の成果を,福島原発事故にどういかす のかをテーマに,シンポジウムを開催しました。集団訴訟で内部被曝の危険性が明 らかになり,不幸なことではありますが,全国民が内部被曝の事を知るようになりま した。まだまだ科学的に解明されていないことがたくさんあります。パネラーの聞間 医師も,どのように語っていいのか悩んでいました。正しく怖がることが大切だと思い ます。政府,東電は,正確な情報を市民に提供すべきでしょう。(N) /\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/ 【ホウネットメールマガジン】 発 行 日:月2回・火曜日発行(休刊:祝日、年末年始など) 発行開始日:2010年4月12日 ご意見ご感想はこちらまで https://g104.secure.ne.jp/~g104135/contact/ バックナンバーはこちらから http://www.kita-houritsu.com/?cat=50 本メールマガジンの解除はこちらから https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ —————————————————————— ////////////////////////////////////////////////////////////////// ■   弁護士法人名古屋北法律事務所 ■   暮らしと法律を結ぶホウネット ■■ ■■  〒462-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル ■■■  TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ■■■■ MAIL:info@kita-houritsu.com ■■■■ HP:http://www.kita-houritsu.com/ //////////////////////////////////////////////////////////////////

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