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知って得する法律情報

コロナ禍と労働の状況

2021年4月16日

 2020年12月15日に厚労省は、新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めは、11日時点で見込みを含めて7万6543人だったと発表しました。労働者の雇用状況の悪化はそのまま労働者の生存へ影響します。2020年10月の自殺者数は2153人となり、男性は前年同月比で21.3%増の1302人。女性は前年同月比で82.6%も増えて851人でした。
 会社から解雇や雇止めを言い渡された場合にどうしたらよいでしょうか。
 期間の定めのない正社員を経営不振を理由に解雇をすることを整理解雇と呼びます。このような整理解雇が有効となるためには4つの要件(①解雇の必要性、②解雇を回避する努力、③選別の適切性、④手続きの適正)が必要となります。たいていの解雇では、この要件を満たしていないことも多いので、あきらめずに戦えば解雇撤回をさせることもできます。
 雇用期間の定めのある労働者に対する雇止めについては、原則として雇用契約が終わってしまいますが、①契約が反復して更新されており、期間の定めのない雇用と同じと言える場合、②契約が更新されると期待することに合理的な理由がある場合には、雇止めが違法になる場合があります。
 また、有期雇用でも通算の契約期間が5年を超えるような場合には、期間の定めのない雇用に転換するように労働者から求めることができます。この場合に使用者は申出を拒否することはできません。
 このように、解雇や雇止めにあった場合には一度弁護士や労働組合に相談をすることをお勧めします。職を失わなくてもよい場合もたくさんあります。コロナ禍で大変だからと言って労働者ばかりが割を食わなければならない理由はありません。

弁護士 白川秀之(名古屋北法律事務所)
(2021年1月に「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)

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