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知って得する法律情報

パート社員(雇用)の新しいルール

2013年9月13日

パート社員雇用の新しいルールができました

 パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託社員−こうした働き方はすべて、期間の定めのある雇用契約、すなわち「有期労働契約」に当たります。有期労働契約で働く人は、全国で約1200万人ともいわれ、その約3割が、通算5年を超えて有期労働契約を反復更新している実態にあります。それにもかかわらず、有期労働契約者は、正社員と違い、いつ雇い止めにあうかという不安の中で働かざるを得ません。また、正社員に比べ、差別的な待遇がなされることもよくあります。

 そこで、これらの問題を解消するために労働契約法が改正され、今年の4月から新ルールが実施されています。改正のポイントは下の3つ。多くの女性が有期労働契約で働いている中で、ぜひ押さえておいてほしい法律知識です。

1.無期労働契約への転換

 同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換します。平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象です。

 無期転換の申込は、通算契約期間が5年を超える場合に、その契約期間の初日から末日までの間にすることができます。この場合、申込み時の有期労働契約が終了する翌日から無期労働契約に転換されます。もっとも、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か月以上あるときは、その空白期間より前の契約は通算することができません(クーリング制度)。クーリングが認められる場合の詳細は、厚生労働省令で定められています。

 使用者は、無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることはできません。

2.雇い止め法理の法定化

 判例上、有期労働契約であっても、?過去に反復更新された契約で、雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視でき、?労働者が、期間満了時に契約更を期待することに合理的な理由があると認められるものについては、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが許されません。今回の改正はこの判例法理を労働契約法で明文化しました。

3.不合理な労働条件の禁止

 同一の使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、不合理に労働条件を異なるものとすることは禁止されます。ここでいう労働条件には、賃金や労働時間等はもちろん、災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など、労働者に対する一切の待遇が含まれます。

2013/8/7 弁護士 裵明玉(ぺみょんおく)
(「新婦人きた」へ寄稿)

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