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知って得する法律情報

岡崎警察署における被留置者死亡事件

2024年2月1日

 岡崎警察署留置場で、2022年12月に勾留中の43歳の男性が長時間拘束されるなどした後に死亡した事件で、愛知県警察本部は、2023年12月、当時の署員9名を業務上過失致死などの疑いで、書類送検したと発表しました。

 男性は、暴れたことを理由に、保護室でベルト型の手錠や縄などで140時間以上拘束されていました。署員らはそれぞれ、男性が自分で飲食できず意思疎通が困難なことを認識しながら漫然と男性を放置し脱水による急性腎不全で死亡させた業務上過失致死の疑いや男性を足で複数回蹴りつけるなどをした特別公務員暴行陵虐の疑いで書類送検されています。

 2022年には、名古屋刑務所において、22名もの刑務官が受刑者3名に対し、暴行などを繰り返していたことも発覚しています。入管を含めた収容施設における被収容者の人権が蔑ろにされる事件が後を絶たないのは、法令遵守の姿勢が足りないとともに、被収容者であったとしても人として尊重されるべき人権についての無理解が根底に潜んでいるといえます。

 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律においては1条で被収容者の人権尊重が定められています。警察などは、基本的な認識を徹底する必要があります。

弁護士 篠原宏二(名古屋北法律事務所)
(「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転機しています)

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