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知って得する法律情報

意外と知らない!道路交通法守ってますか?

2020年9月1日

1 横断歩道の手前では徐行または一時停止を(歩行者優先義務)

 最近、自宅近くの横断歩道付近の路地で、パトカーが待ち伏せているのを時々見かけます。これは、横断歩道前一旦停止義務違反の車両を取り締まっているんです。

 皆さんご存知ですか?道交法第38条1項は、車が横断歩道に接近するときは、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいないことが明らかな場合を除き、横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない、と定めています。

 さらにまた、「横断歩道でその進路の前方を横断しようとする歩行者があるときは、横断歩道の直前で一時停止しなければならない」とも定めています。

 横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合に、止まって先に渡らせてあげるのはマナーではなくて、「法律上の義務」(歩行者優先義務)なんです。これに違反すると3月以下の懲役または5万円以下の罰金という刑罰が待っています(道交法119条1項2号)。もちろん最初は反則切符を切られるだけだと思いますが。

 最近の警察はこれの取り締まりに、やたら力を入れています。車を運転するときには、くれぐれも違反しないようにご注意ください。

 

2 自転車は軽車両

 道交法は、自転車について「軽車両」と定めて、自動車、原動機付自転車(いわゆる原付)と並んで、「車両」の一つと定義しています。ですから、道交法の規定の多くは自転車にも適用されます。

 例えば、お酒を飲んで自転車に乗るのは、「酒気帯び運転」にあたり、その程度によっては5年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則があります(道交法65条・117条の2)。

 また、特別に許可された歩道や児童等(13歳未満又は70歳以上、身体の障害を有する者)以外は、自転車は歩道を走ってはいけません(道交法17条)し、車道の左側を走らなければなりません。これに違反すると(通行区分違反)3月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられます(道交法119条1項2号の2)。

 最近、外出自粛要請の中で、自転車で料理の配達をする「Uber Eats」というカバンを背負った人をよく見かけます。彼ら・彼女らは、とても急いで料理を届けようとするんでしょうね、猛スピードで歩道上を駆け抜けて行きますが、いかにも危険ですし、明らかな道交法違反の場合もあります。

 過酷な労働条件の中で働く大変さはわかりますが、警察に捕まったり、事故など起こさないことを祈りたいと思います。

弁護士 伊藤勤也(名古屋北法律事務所)

(2020年7月「新婦人北支部・機関誌」へ寄稿した原稿を転機しています)

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