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最高裁が貸金業規制法43条を死文化させる画期的判決

2006年1月17日

最高裁が貸金業規制法43条を死文化させる画期的判決

 2006年1月13日、最高裁判所は貸金業規制法に関し、同法43条の適用を求める貸金業者シティズの主張を退け、債務者の立場に立った画期的な判決を言い渡しました。これは、平成16年2月20日に商工ファンド(現SFCG)に対して最高裁が言い渡した判決で判示した、貸金業規制法43条は極めて厳格に解すべきであるという立場を再度確認する内容で、多重・多額債務に苦しむ債務者にとって非常に重要な内容を含みます。

 利息制限法は、100万円以上の貸付について、年15%を超える利息は無効であると定めています。ところが貸金業規制法43条は、「みなし弁済規定」と呼ばれ、本来無効であるはずの利息制限法の制限を超過した利息を受領しても、貸金業規制法17条(契約証書)、18条(受取証書)に定める書面(17条書面、18条書面と呼ばれます)が交付され、かつ弁済が任意になされたこと等の要件を満たした弁済であれば、例外的に有効な弁済とみなす旨定めています。

 今回の判決では、この「任意の支払」及び18条書面の要件という点について重要な判断が示されています。

 第一に最高裁は、貸付契約上、「利息制限法を超える金利(約定利息)を支払わないと期限の利益を喪失させて一括払いが請求できる」との特約がある場合、債務者に対して、この特約に従って利息制限法を超えた約定利息を支払わないと期限の利益を失い、残元本全額の一括払いが求められ、さらに遅延損害金をも支払わなければならなくなるとの誤解を与え、その不利益を回避するために、制限超過利息を支払うことを事実上強制されることになるものであり、「任意に」支払ったとは言えないと判断しました。貸金業者はほぼ100%上記「期限の利益喪失特約」を定めていますが、それがあるだけで、特別な事情がない限り貸金業法43条のみなし弁済の規定の適用がないことになります。これはまさに法43条を死文化させるものと言っても過言ではありません

 第二点は、貸金業者が債務者に発行すべき受取証書(18条書面)の記載事項に関する判断です。貸金業規制法18条1項は、受取証書の必要的記載事項として、受取証書に「契約年月日」を記載することを求めていますが、内閣府令(貸金業規制法施行規則)によって、これを「契約番号」によって替えることができ、契約年月日そのものは記載しなくても良いとされていたのです。これに対して最高裁は、このような内閣府令の規定は、法の委任を逸脱し無効であると断じたのです。今日多くのサラ金等では、契約年月日、契約金額の記載を契約番号で読み替えるという手法を取っており、今回最高裁がこのような契約番号による法定記載事項の読み替えは認められないと判断したことにより、相当多数の契約について43条のみなし弁済の規定が適用されなくなるという点でも、その影響は計り知れないと言えます。

 この最高裁判判決を武器に、これまで貸金業者に泣かされてきた債務者が、債務を減縮し、さらには払いすぎた利息(過払い利息)を取り戻す反撃に出る体制が整ったと思います。サラ金などの貸金業者に対し、すでに相当の年数支払って来たと思う方は、一度当事務所へ相談においで下さい。

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