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知って得する法律情報

相続(3)遺産分割協議

2015年2月24日

 相続のことでときどき相談を受けるのが、「自分にも相続権があるのに、他の人が遺産分割の協議を成立させてしまった」というケースです。

 これは、具体的には2つの場合が考えられると思います。

 まず一つは、戸籍の上でも、また実質的にも相続人と言える人たちの間で、一部の人を除外して勝手に遺産分割協議を成立させてしまった場合です。協議書には相続人全員の署名と捺印が必要ですから、誰かが署名の偽造や印鑑の冒用などを行っていることが考えられます。

 この場合、遺産分割協議は法律上無効ですから、除外された人は、他の相続人に対して、遺産分割のやり直しを請求することができます。

 もう一つは、ある人が戸籍の上で相続人であることが明らかでない場合に、他の相続人が、ほかに相続人がいることに気がつかずに遺産分割協議を行ってしまった場合です。「戸籍上相続人であることが明らかでない」というのは、たとえば認知されていない子どもであったり、実子にもかかわらず他人の子として届けがされているケースなどが考えられます。

 この場合は、遺産分割協議は直ちに無効とは言えません。除外された人は、他の相続人に対して「相続回復請求権」という権利を行使することによって、他の相続人が受け取った財産について、自分にも権利があることを主張しなければなりません。またこの権利は、自分の相続権が侵害されたことを知ってから5年、あるいは相続開始から20年の経過によって時効消滅するので、注意が必要です。

弁護士 鈴木哲郎

(「商工新聞」 名古屋北部民商へ寄稿)

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