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知って得する法律情報

離婚給付について(6)

2010年11月19日

 5回に亘って、養育費用、財産分与、慰謝料、離婚時年金分割制度、婚姻費用分担制度といった離婚をめぐる給付について説明しました。今回は、支払確保の方法等についてお話しします。

 離婚時年金分割以外の離婚給付、つまり養育費用、財産分与、慰謝料そして婚姻費用については、両当事者が合意をしてきちんと支払ってくれればそれで何の問題もありません。

 しかし一般的には、離婚という信頼関係が崩れている局面で、一方がお金を支払い、一方がお金をもらう訳ですから、お互いの利害が真っ向から対立し、なかなか合意による支払いが期待しがたい面があります。

 そこで金額や支払い方法に合意ができている場合には、きちんと書面に残して、できれば公正証書にしておくことがよいでしょう。

 公正証書は、公証人が作成する公文書です。そして、支払う方が約束を破ったときは強制執行を受諾する、という一文を入れておくと、裁判をしなくても強制執行を行うこともできます。

 金額や支払い方法に争いがある場合には、家庭裁判所の調停や審判(または裁判)で内容を決めることになります。調停などで決まった支払を怠った場合には、給料の差押え等、強制執行をされてしまっても文句は言えません。特に養育費や婚姻費用の支払いを怠ると、最大で給料の半分を差し押さえられ続けることになりかねません。もし状況が変わって経済的に支払が困難になったときには、費用の減額の調停を申し立てることもできますので、放置しないようにしましょう。

 離婚時年金分割制度については、当事者で合意ができればそれを、当事者だけでは合意ができなければ家庭裁判所の調停や審判で分割割合を定めて、それを年金事務所に届けます。必ず届出が必要ですので忘れないようにしてください。

2010/11/4
弁護士 山内益恵
(ホウネットメールマガジンより転載)

(連載の他の記事は下記のとおりです)
 ・離婚給付について(1) 概論
 ・離婚給付について(2) 財産分与
 ・離婚給付について(3) 慰謝料
 ・離婚給付について(4) 離婚時年金分割制度
 ・離婚給付について(5) 付随問題〜婚姻費用分担
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