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メールマガジン

ホウネットメールマガジン  Vol.33

2013年6月6日

◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆◆◆  ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆◆◆   ★ホウネットメールマガジン★  vol.33  2013年4月4日配信 ◆◆    ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ _/_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 1 ワンポイント法律知識  弁護士 矢崎暁子 2 事務局コラム  3 裁判・司法情報 4 行事案内 5 編集後記 ┏━┓ ┃ 1┃ ワンポイント法律知識 連載「成年後見制度」  弁護士 矢崎暁子 ┗━╋…───────────────────────────── 成年後見の効果 その1 今回は、成年後見制度を利用した場合の効果について、いくつかのポイントをお 話ししていきたいと思います。 (1)契約の取消し まず、成年後見制度を利用すると、本人に不利で不必要な内容の契約を取り消す ことができ る、ということをご説明しました。契約を取り消す、とはどういうことでしょ うか。 例えば、本人が、自宅の不動産を売却する契約を結んでしまったとします。このと き、登記がまだ相手に移されていないときには、売買契約を取り消します、と相手 に通 知することにより、登記を移す義務を消滅させることができます。 また、登記を相手に移転してしまった後であっても、売買契約を取り消すことによ り、登記の抹消を求めることができます。「求めることができる」と書きましたが、相 手が登記の抹消を頑として拒否してきたときには、裁判によって権 利を実現する ことになります。 成年後見制度を利用していることの効果は強く、たとえ不動産が転々と売買され、 全く事情を 知らない第三者が買っていたとしても、元の売買契約を取り消すことに より、不動産を取り返すことができます。なお、代金を受け取っていれば、それは 当然ながら返さなければなりません。 (2)医療行為の同意 次に、よく問題となる「医療行為の同意」についてご説明します。 私たちが病院で治療を受けるとき、病院との間で診療契約を結びます。もっとも、 これは治療 を受ける、という概括的な契約にとどまっていて、治療の具体的な内 容(投薬や手術など)については、その都度、医師からの説明を受けて個 別に同 意をしています。 この同意は、契約などの法律行為ではありませんが、医療行為というものが、副 作用や体を切り開くことで場合によっては生命の危険に関わるものであるため、 患者自身が自分の体に生じる不利益を理解し納得する、という意味で必要とさ れています。 ただ、成年後見制度を利用する方については、本人が必ずしも治療内容の説明 を理解し、判断 することができない場合があります。そうすると、具体的な医療行 為をするには、誰かが本人に代わって同意する必要があります。本来は、本人の 体のことは本人にしか決定できないはずですが、治療の必要がある人を、判断能 力の低下を理由に放っておくわけにはいかないからです。 そのため、医療の現場では、配偶者や親、子など本人の近親者に、本人に代わっ て医療行為の 同意をしてもらっています。本人に近しい親族であれば、本人の体 力や要望を代弁できるであろうという考慮が働いていると考えられます。 ただ、家族であればどうして本人の代わりに同意ができるのか、については、実際 には法的な根拠は曖昧で、法整備の必要性が指摘され続けています。 では、成年後見人等に選ばれた人は、本人の代わりに医療行為の同意をできる でしょうか。 後見人等は、診療契約を代わりに結ぶことはできます。しかし、医療行為に同意 する権限は、 実はありません。 しかし、そのために困った問題が生じています。例えば、全く身よりのない方の場 合、あるいは親族はいるものの遠縁で本人と会ったこともないという場合、親族が 本人と仲が悪い場合など、親族に同意を求めることができない、あるい は適当で ない、というケースが少なくないからです。 成年後見人等に医療行為の同意権も与えるという法整備の必要性も、叫ばれて いるところです。 (次号へ続く)   ┏━┓ ┃2 ┃事務局コラム  桑名市と薩摩義士  事務局 I ┗━╋…───────────────────────────── 桑名市に海蔵寺というお寺があり、薩摩義士墓所という看板があります。何故三 重県に薩摩義士のお墓があるのか不思議でした。興味を持ち調べていくうちに、木 曽・揖斐・長良三大河川は度々水害をもたらし、薩摩義士により治水工事がされ、 その犠牲者達のお墓が桑名市の海蔵寺にある事が分りました。 小学校の社会の授業で治水工事を学び、社会見学では、千本松原をバスの中 から眺めたことを思い出しました。調べていくうちに、治水工事の犠牲者は自然の力 で犠牲になった方ばかりではないことが分りました。 1753年(宝暦3年)、徳川幕府は琉球との貿易によって財力を得ていた薩摩藩を恐 れて、毎年氾濫による被害が多発していた木曽三川の分流工事を薩摩藩に命じ ました。工事費用は薩摩藩が全額負担、大工などの専門職人を一切雇ってはな らないとしました。 露骨な弾圧政策に薩摩藩は幕府への反発を極め、このまま潰されるくらいなら一戦 交えようという過激な意見まで噴出したが、平田が「民に尽くすもまた武士の本分」 と説破して工事を引き受けることとなり、平田は総奉行となります。 40万両にも上る工事費用を捻出するため大阪豪商から借金を重ね、幕府へもたび たび専門職人の雇用許可を要請するも許可は下りず、工事のやり直しを命じられる ことがしばしばあった。工事に派遣された薩摩藩士達の過労や伝染病による死亡が 相次ぎ、また幕府に抗議して切腹する薩摩藩士達も続出しました。この時には、本 来監視役のはずの徳川家からも、薩摩藩に同情して抗議の切腹を行う武士が二名 いたほどである。 この件に関して、平田は幕府との摩擦を回避するため、切腹した藩士たちを事故死 として処理している。薩摩藩は最終的に病死33名、自殺者52名という多大な殉職 者を出している。鹿児島では「平田靱負」は小学校の道徳の副読本に掲載されて おり、その名を知らない人はいないと言っても過言ではありません。 最初、桑名市と薩摩義士の繋がりに興味を持ち調べていたのですが、時代は違 えども徳川家の下級薩摩藩に対する弾圧は、現在に通じるものがあると感じまし た。会社が不当解雇するために、無理難題を強いられて耐えている人と平田靱負 と重なりました。江戸時代の封建社会でもあるまいし、現在も傲慢な会社がある事 が理解できません。そのような会社の方に、是非学んでほしい歴史だと思います。 ┏━┓ ┃3 ┃裁判・司法情報  事務局 長尾忠昭 ┗━╋…───────────────────────────── 1 成年後見を巡る公選法違憲判決に対し、政府が控訴しました。  成年後見訴訟「国は控訴取り下げを」 原告側 公選法規定削除要望  http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013032802000232.html 弁護団は「公選法の規定の存在がまさに人権を侵害しており、現実的な法改正を 考えると削除しかない」と強調。「選挙の混乱を回避するために原告に犠牲を強い るのは法理論にも人道にも反する」と指摘した。 2 選挙制度改革 「一票の価値」違憲判決相次ぐ 昨年末の衆議院選挙において、一票の価値が是正されないまま行われたことに ついて、司法が違憲であると判断しています。    中日新聞の社説を紹介します。 http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2013040402000113.html  「一票の不平等をなくすには、小選挙区を限りなく「一人一票」に近づけるよう区 割りをするか、それが難しいなら、死票の多い小選挙区制はいっそのことやめて、 比例代表制に移行してはどうか。  国民の代表である国会議員の定数も、ただ削ればいいというものではない。消 費税増税への国民の理解を得るために議員自らが身を削る姿勢を示したいのな ら、約三百二十億円の政党交付金を返上した方が潔い。」 本当にそのとおりだと思いました。 ┏━┓ ┃4 ┃行事案内 ┗━╋…───────────────────────────── 1 ホウネット法律講座(相続)  今年の前半は次のとおり行います。テーマはすべて相続、   時間は午後2時から4時です。   4月18日(木)北区味鋺 山内益恵弁護士 名古屋市楠地区会館   5月20日(月)守山区   加藤悠史弁護士 コープ小幡   6月19日(水)尾張旭市 伊藤勤也弁護士 場所未定   7月17日(水)犬山市 白川秀之弁護士 フロイデ 参加費は無料です。どなたでも参加できます。 2 憲法施行66周年記念市民のつどい「岐路に立つ日本国憲法」  2013年5月3日(憲法記念日)13:00〜16:00@名古屋市公会堂  第1部講演「沖縄から問う憲法のこころ」    講師:大田昌秀(元沖縄県知事・沖縄国際平和研究所理事長)  第2部コンサート「水晶のうたごえとバンドゥーラの可憐な響き」    ナターシャ・グジー  参加費 一般 前売 1300円 当日 1600円    中高大生、障がい者、年金生活者 前売900円 当日1200円  問い合わせは、080-3633-9086 (愛知憲法会議)  なお、名古屋北法律事務所でもチケットを扱っています。 ■ 編 集 後 記  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… プロ野球が始まりました。日本ハムの大谷選手や阪神の藤浪選手など、楽しみな 新人がたくさんいます。大谷選手の二刀流なんて、ナゴヤドームで見てみたいな あと思います。わがドラゴンズはベテラン頼みが抜けきらず、投手陣の不調もあっ て今ペナントレースはどうなることやらと思います。 元読売の桑田投手の対談形式の「新・野球を学問する (新潮文庫)」を読んでいま す。桑田さんはいじめ問題でもすぐれたコメントをしてすごいと思いましたが、この 本を読んでその考えの奥の深さにびっくりしました。桑田さんが読売の監督になっ たら手強いだろうし、コミッショナーになって球界の改革に乗り出してほしいとも思 いました。是非お読みください。(N) /\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/ 【ホウネットメールマガジン】 発 行 日:月1回 発行開始日:2010年4月12日 ご意見ご感想はこちらまで https://g104.secure.ne.jp/~g104135/contact/ バックナンバーはこちらから http://www.kita-houritsu.com/?cat=50 本メールマガジンの解除はこちらから https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ —————————————————————— ////////////////////////////////////////////////////////////////// ■   弁護士法人名古屋北法律事務所 ■   暮らしと法律を結ぶホウネット ■■ ■■  〒462-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル ■■■  TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ■■■■ MAIL:info@kita-houritsu.com ■■■■ HP:http://www.kita-houritsu.com/ 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