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メールマガジン

ホウネットメールマガジン Vol.15

2011年5月7日

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◆◆◆   ★ホウネットメールマガジン★  vol.15  2011年4月15日配信
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1 ワンポイント実務知識
2 エッセイ
3 裁判・司法情報
4 行事案内
5 編集後記

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┃ 1┃ ワンポイント実務知識 借地借家問題(3) 更新料制度について
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4月は、いろいろなことのスタートの時期です。
賃貸建物に住んでいる方の中には、賃貸借契約の更新が行われて、更新料を支払ったという方もいるのではないでしょうか。

更新料制度は、お国柄といいますか、慣習的にあまり採用していない地域もありますが、書店で市販されている建物賃貸借契約書のひな形には、更新料支払いの規定が入っているのが一般的です。内容は、たとえば2年契約の建物賃貸借であれば、2年ごとに1〜2か月分の賃料相当額程度の金銭(更新料)を支払うものが多いようです。

しかし、この更新料制度、有効か無効か、実は、厳しく争われています。
更新料は、法律上決まっているものではなく、大家と借主の合意で支払うことが約束されてはじめて発生するものです。更新料というものが法律的にどのような性質を持っているのかについては学説や裁判例などによって様々な見解がありますが、賃貸借契約は、契約が更新されることが原則であるにもかかわらず、なぜ期間毎に金銭を支払わなければならないのかを、説得的に説明するのは難しいのです。

そこで、これはおかしいのではないかと言うことで、平成19年頃から更新料訴訟が多く起こされるようになりました。

この訴訟は、借主側が、更新料条項は消費者契約法10条(「消費者の利益を一方的に害するものは無効とする」という法律)に違反しているので無効であると主張して、大家に対し、不当利得返還請求、又は更新料条項の使用差し止めの判決を求めたものです。

当初は、更新料制度を有効とする判決が多かったのですが、平成21年夏頃から、これを無効(つまり更新料の支払いは不要)だとする判決が現れ始めました。そして身近な法律問題だけに、今も、多くの更新料訴訟が、地方裁判所・高等裁判所に継続しているのですが、高等裁判所の判断が分かれているため、最高裁判所の判断が待たれています。

現在、最高裁判所には3件の更新料訴訟が係属しており、今年の夏にも判決になるのではないかと言われています。

おかしいなと疑問を持った借主たちの運動によって、長い間、当たり前のように思われていた更新料制度の有効性が揺らいでいます。
みなさんも関心を持って新聞やニュースを見ていてください。

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┃2 ┃ エッセイ
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1 「3月11日」 弁護士 鈴木哲郎

3月11日午後2時46分。僕は、事務所の机でパソコンに向かっていました。
「あ、揺れてる」。感想はただそれだけでした。揺れがおさまれば、また何事もなく仕事に戻っていました。

その日の夜、家に帰ってテレビをつけると、そこには想像を絶する光景が広がっていました。僕のように平気で仕事を続ける人がいた一方で、仕事どころか生活すべてを奪われ、大切な人を失った人たちがいました。

そのとき,どこにいたか。僕と彼らの違いはただそれだけでした。それだけの違いがこれだけ大きな結果の違いを生み出したのです。このあまりの不公平と理不尽に、何も言葉が出てきませんでした。ふと、ある曲の歌詞に、こんなフレーズがあったのを思い出しました。
「また争いが 自然の猛威が 安らげる場所を奪って 眠れずにいるあなたに言葉などただ虚しく」(Bank Band 『to U』)
今も僕は、被災された方々に向けて、どんな言葉を発すべきかわからないままです。

それでも、何もしないでいいはずがありません。僕は僕にできること、すべきことを考え、行なっていきたいと思います。そしていつか、被災者の方々に、再び笑顔が戻る日が来ることを祈っています。

2 被災地を訪れて 事務局 熊谷茂樹

父がいとこの安否確認をしたいと言うので、3月末に父に付き添って陸前高田市に行ってきました。

復興支援の活動をするわけでもないのに、現地を訪問して邪魔になってしまうのではというためらいはありましたが、父の「とにかくじっとしていられない」という言葉に動かされて、現地へ行くことにしました。

テレビで見ていた光景が目の前に現れたときは、現実感が持てませんでした。津波の破壊力を知りました。変な表現かもしれませんが、空が広いというか、大きな大陸のようだと思いました。自分が今まで日本で見てきた景色と違うのです。がれきの山が広がる現地で、地図を見てもどこがどこだか全くわかりませんでした。

災害対策本部では、壁に貼り出された死亡者や不明者のリストを見て、緊張感を覚えました。

結局、何人かの親戚と会うことができたのですが、津波で亡くなられた方、行方不明になっている方もいました。そのような中で生きていくことの辛さを想像してみても、私にはわかりませんが、夫を亡くした方の涙は今後忘れることはないでしょう。

面会して安否確認をさせていただいた以外にはほんのわずかな物資を届けただけでしたが、行ってよかったと思っています。親族の結び付きを強め、復興支援に継続的に取り組もうと確認する機会となりました。

帰りに寄ったサービスエリアで「岩手からの贈り物」というお菓子を見つけました。こんなときに土産なんてと思いましたが、被災地から発せられている何らかのメッセージのようにも思え、それを買いました。

生かされた者として、しっかりと日常を生きながら、支援活動を模索し、できることをやっていきたいと思います。

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┃3 ┃裁判・司法情報  事務局 長尾忠昭
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1 個人事業主の歌手や技術者、実態は「労働者」 最高裁認定

新国立劇場のオペラ歌手である八重樫節子さんが訴えていた裁判と,住宅設備会社INAXの修理の仕事を請け負う人びとが訴えていた裁判で,最高裁の判決が,4月12日にありました。

労働者性を認める判決です。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110412150301.pdf
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110413094337.pdf

2 大震災関係
(1)愛知県弁護士会が,被災者のための電話相談を行います。
http://www.aiben.jp/page/frombars/topics2/528shinsaisoudan.html

(2)日本労働弁護団が「東北関東大震災と労働問題Q&A(第1版)」を発表。
http://roudou-bengodan.org/topics/docs/%E6%9D%B1%E5%8C%97%E9%96%A2%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD%E3%81%A8%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%95%8F%E9%A1%8C%EF%BC%B1%EF%BC%86A%E7%AC%AC%EF%BC%91%E7%89%88.pdf

(3)厚生労働省が,労働関係のリーフレットをまとめたページをつくりました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000018w3v.html

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┃4 ┃行事案内
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1 名古屋北法律事務所設立10周年記念
    鎌田實さん講演会と懇親会〜つながる夕べ 5月29日(日)

(1)鎌田實講演会 「がんばらない あきらめない 自分らしく生きる処方箋」
   時間 15時00分〜16時30分
   参加費 1000円(ホウネット会員,70歳以上,障がい者は500円)
   なお,ウィルホールは定員に達したため,大会議室(ホールの模様を中継する)
   でのご参加を受け付けています。
   http://www.kita-houritsu.com/event/

(2)懇親会〜つながる夕べ
   時間 17時00分〜19時00分 ? 会場 ウィルあいち 大会議室
   参加費 2000円
   ちまたで有名な風船太郎のアトラクションもあります。

2 憲法施行64周年記念市民のつどい「沖縄のいま 憲法のいま」
  2011年5月3日(祝)13:00〜 名古屋市公会堂
  第1部 沖縄伝統芸能
  第2部 講演 「要石として沖縄」 ダグラス・ラミス
  参加費 一般1300円
       中高大生,障がい者,年金生活者 900円
  http://www1.ocn.ne.jp/~kenpou/work/53/201153.pdf

■ 編 集 後 記  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

東日本大震災から1ヶ月が経過しました。
自分も何かできることがないのか,日本中で模索されていると思います。
腰痛を抱え,ボランティアに出かけることがままならない私は,経済の発展に協力することが大切なのではないかなと思っています。決して無駄遣いを推奨するわけではありません。(N)

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【ホウネットメールマガジン】
発 行 日:月2回・火曜日発行(休刊:祝日、年末年始など)
発行開始日:2010年4月12日

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