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メールマガジン

ホウネットメールマガジン Vol.27

2012年11月12日

◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆◆◆  ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆◆◆   ★ホウネットメールマガジン★  vol.27  2012年9月28日配信 ◆◆    ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9月は台風や急な大雨、雷などが続きました。 みなさまの周りはいかがでしたでしょうか。 被害に遭われた方の、一刻も早い生活再建を願いながら、 ホウネットメールマガジンをお送りします。 _/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 1 ワンポイント法律知識 連載「こどもをめぐる問題」     (4)子の引き渡しについて  弁護士 矢崎暁子 2 事務局コラム 3 裁判・司法情報 4 行事案内 5 編集後記 ┏━┓ ┃ 1┃ ワンポイント法律知識 連載「こどもをめぐる問題」 弁護士 矢崎暁子 ┗━╋…───────────────────────────── 第4回 子の引き渡しについて 1 「子の引渡し」が問題となる場面  子どものいる夫婦が別居したり、あるいは離婚して離れて暮らすようになったりしたと き、子どもと離れて暮らす親が子どもを連れ去ってしまうことがあります。こうしたケース には、(1)別居中の夫婦間で、一方が子を連れ去った場合と、(2)離婚後、元夫婦の 一方が子を連れ去った場合とが考えられます。 2 「子の引渡し」を求める方法  (1)(2)のいずれの場合も、監護権者である親は、家庭裁判所の手続(調停、審判) を用いて、子どもを自分に引き渡すように求めることができます。  これに加え、婚姻中で離婚を考えている場合には、離婚訴訟を起こすとともに子の 引渡しを求めることもできます。人身保護法に基づいて子どもの保護を請求する、と いう方法もありますが、この手続は、近年ではほとんどが両親が離婚した後のケースで しか使われません。 3 「子の引渡し」を認める判断基準  もっとも、「子の引渡し」は、引き渡される子どもにとっては、現在一緒に暮らしている 親と離れなければならなくなり、住んでいる場所からも転居しなければならない、などの 不利益が伴います。    ですから、子の引渡請求の判断にとっては、子どもの現在の状況や将来を考慮し、 子ども自身の幸せに反しないように、という観点が重要です。  したがって、(1)子ども自身の意思を尊重することが大切です。ただ、子どもの意見 だけで結論を出そうとすると、子どもに親の選択を迫ることになり、かえって子どもを苦 しめかねません。そのため、様々な事情を考慮して判断することになっています。  また、(2)子どもの成育環境の安定性という観点があります。例えば、子どもが ずっと通っている学校を転校しなければならなくなったり、兄弟が別々に暮らすことに なるというのは、子どもの幸せにとっては基本的には望ましくない、と考えられています。  さらに、(3)乳幼児であれば原則として母親と一緒に暮らした方がいい、と言われ ています。もっとも、子どもに対する「母親」としての役割は、必ずしも性別上の母親 しか担えないものではないため、常に母親を優先させることには批判の余地があります。  他にも、(4)監護者としての適格性という観点から、父母の経済力、健康状態、 居住環境などの事情も考慮されます。  こうした様々な事情を考慮して、引渡を認めるべきかどうかが判断されることになり ます。  なお、あくまでも子どもの幸せにとってどうか、という観点からの判断がなされます。 したがって、例えば、母親の不倫が原因で離婚に至った、という事情があるとしても、 子の引渡請求では基本的には考慮されません。ただし、不倫に没頭するあまり育 児を放棄していた、という場合は別でしょう。 4 「引渡し」を実現するには  以上のような考慮を経て、子を引渡せ、という結論が出た場合、子どもを現実に 取り戻すにはどのようにすればよいでしょうか。もう一方の親が子どもを引き渡してく れれば何の問題もありませんが、頑なに拒んでいる場合には、難しい問題です。  例えば、「引き渡すまで1日当たり○○円支払え」というように、金銭支払の圧力 をかけて引渡しを求めるという方法があります(間接強制)。  これに加えて、執行官が子どもを直接取り返す、という方法(直接強制)ができ るか、については、子どもを「物」と同じように扱うべきではない、という観点から反 対意見もあります。しかし実務上は、現在のところ、直接強制もできるとされてい ます。  ただし、直接強制を認めるとしても、それまで一緒に暮らしていた親と無理やり 引き離すのは、子どもに大きな恐怖や精神的ショックを与えるおそれがあります。 そのため、子どもの心情に対する十分な配慮が必要です。乳幼児が寝ていると きにもう一方の親が抱きかかえて連れて帰る、という方法であれば、ショックが少 なくすむかもしれません。他方、ある程度大きくなった子どもには、事情を説明し た上で親が手を引いて連れて行く方がいいかもしれません。いずれにしても、そ れぞれの子どもに応じた方法を考える必要があります。 ┏━┓ ┃2 ┃事務局コラム 「商売も平和でこそ」  熊谷茂樹 ┗━╋…─────────────────────────────  先日、金沢を旅行しました。高校の修学旅行以来です。  高校生のときは古い町並みや歴史などには全く興味がなく、ほとんど記憶に残っ ていませんでしたが、今回の旅行でとても気に入りました。武家屋敷が保存されて いる一帯や、城下町の入口にあたる茶屋街、兼六園などを訪れました。  旅では、その土地の人と言葉を交わすことも楽しみの一つですが、印象に残る やり取りがありましたので紹介します。  武家屋敷の町並みの中に、歴史のありそうな飴屋(あめや)さんがありました。 お店に入ってみると、気持ちのいい笑顔で店員さんが元気に迎えてくれます。  50代くらいの、やや恰幅のよい女性で、私はなぜか「ここのおかみさんですか?」 と聞いてしまったのですが、従業員さんでした。  店内には商品が陳列されているほかに、壁に飴の製法を紹介するパネルが貼ら れていました。「砂糖を使っていない、麦芽糖で作る飴なんですよ」と、店員さんが 親切に解説してくれます。  江戸時代から続く飴屋さんなのですが、パネル写真の中では結構大きな装置が 紹介されています。江戸時代に大掛かりな装置で大量生産していたのだろうかと 興味を抱き、「ずいぶん大きな機械ですねぇ」と聞いたところ、それらは戦後のもの、 その前は小さな装置を使っていて、小さな飴屋さんが金沢にたくさんあった。ところが、 戦争があって、ほとんどのお店が廃業。金沢にはそのお店も含めて2つしか残ってい ないというお話でした。  私は、飴屋さんの前に訪れた資料館で、金沢は戦争で空襲を受けなかったから 古い町並みが残ったという話を聞いていました。なので、なぜお店を廃業することに なったのだろうかと疑問に思い、そのことも質問してみました。  「戦争でモノが不足していたから」というのが、その答えです。ああ、そうか。自分の 想像力の無さを残念に思うとともに、戦争というのは爆弾を落とされる(あるいは落 とす)ことだけではないのだと改めて気付かされました。戦争で飴の原料がほとんど 手に入らなかったから、ほとんどのお店が商売を続けていくことを断念したのです。  おかみさん、ではなくてその従業員さんは、「やっぱり戦争はいけませんねぇ」と、 意味深そうにおっしゃいました。庶民の生活、日々の生業にとって、平和であるこ とが大事なんだなぁと感じさせてくれた旅のひとコマでした。 ┏━┓ ┃3 ┃裁判・司法情報  事務局 長尾忠昭 ┗━╋…───────────────────────────── 1 自衛隊 今も国民監視 違法な個人情報収集 情報保全隊の内部資料 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-04/2012090401_01_1.html  陸海空自衛隊の情報保全隊を統合して2009年に新設された自衛隊情報 保全隊のもとで、違法な国民監視活動とその記録化が続けられていることが 同隊の内部資料などで判明しました。直ちにやめるべきです。 2 今年度の司法試験合格者の発表がありました。   社説:法科大学院 統廃合を進めるべきだ   http://mainichi.jp/opinion/news/20120917k0000m070105000c2.html  過去最多の2102人(昨年比39人増)が合格しました。  法曹人口問題については、市民のための法曹をいかに増やし、定着させるかが 課題と思います。様々な側面から検討されるべきと思います。 ┏━┓ ┃4 ┃行事案内 ┗━╋…───────────────────────────── ★ホウネット 法律講座(2012年後半シリーズ)  (1)9月28日(金)14時〜16時 終了しました。    「知っておきたい相続の基礎知識」     講師:弁護士 鈴木哲郎    会場:名古屋市守山生涯学習センター  (2)10月17日(水)18時30分〜20時30分    「必携! あなたを守る労働法・・・セクハラ、パワハラへの対処法」     講師:弁護士 ぺ明玉     会場:名古屋市教育館  (3)11月15日(木)18時30分〜20時30分    「必携! あなたを守る労働法・・・解雇、退職強要とのたたかい方」     講師:弁護士 加藤悠史    会場:ウインクあいち  (4)12月5日(水)14時〜16時    「知っておきたい相続の基礎知識」     講師:弁護士 山内益恵 会場:名古屋市西生涯学習センター  いずれの回も参加費はかかりません。 ★ホウネット 秋の日帰りバス旅行  ※おかげさまで、参加のお申し込みがほぼ定員に達しました!※   10月13日(土)、今回は長野県伊那市へ出かけます。  「かんてんぱぱゼリー」で有名な伊那食品工業の「かんてんぱぱガーデン」など  を訪れます。 ★ホウネット趣味の会  (1)パソコン教室が始まります!   10月9日(火)から、パソコン教室を開講します。   毎週火曜日の19時から、「くらし支える相談センター(※)」の一室を使って   行います。   受講者の方には、各自でノートパソコンを持ってきていただきます。   講師が一方的に話をするのではなく、受講者の方の質問にお答えする形式に   します。   費用は1回受講ごとに500円。   連続の講座ではありません。お気軽にご参加ください。   お問合せや見学も歓迎します!  (2)山歩きの会   11月4日(日) 尾張富士(犬山市)へ   集合は8時30分に上飯田駅の予定。   ご興味のある方はお問合せください。 お問い合わせ、お申込みはホウネット事務局(電話052−910−7721) までお願いします。 ■ 編 集 後 記  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を 深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの 安全と生存を保持しようと決意した。」憲法前文です。 領土問題では、対立ばかりがあおられています。道理に基づいて、冷静な対応をす ることが大切だと思います。(N) /\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/ 【ホウネットメールマガジン】 発 行 日:月1回 発行開始日:2010年4月12日 ご意見ご感想はこちらまで https://g104.secure.ne.jp/~g104135/contact/ バックナンバーはこちらから http://www.kita-houritsu.com/?cat=50 本メールマガジンの解除はこちらから https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ —————————————————————— ////////////////////////////////////////////////////////////////// ■   弁護士法人名古屋北法律事務所 ■   暮らしと法律を結ぶホウネット ■■ ■■  〒462-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル ■■■  TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ■■■■ MAIL:info@kita-houritsu.com ■■■■ HP:http://www.kita-houritsu.com/ //////////////////////////////////////////////////////////////////

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