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メールマガジン

ホウネットメールマガジン Vol.28

2012年12月26日

◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆◆◆  ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆◆◆   ★ホウネットメールマガジン★  vol.28  2012年11月6日配信 ◆◆    ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ _/_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 1 ワンポイント法律知識 連載「こどもをめぐる問題」 弁護士 矢崎暁子 2 事務局コラム 3 裁判・司法情報 4 行事案内 5 編集後記 ┏━┓ ┃ 1┃ ワンポイント法律知識 連載「こどもをめぐる問題」(5) 弁護士 矢崎暁子 ┗━╋…───────────────────────────── 第5回 「ハーグ条約」について (1)前回のメルマガで、夫婦・元夫婦の間での「子の引渡し」については、家事手続 や人身保護法に基づく請求ができるとお書きしました。 ところで、最近では、国際結婚も珍しくなくなってきましたね。 国際結婚の場合にも、当然、どちらかが子どもを連れ去ってしまった場合には「子 の引渡し」が問題になってきます。 ただし、国際結婚の場合には、国境を越えた連れ去りが生じる場合があり得ま す。 例えば、外国で外国人と結婚した日本人の親が子どもを日本に連れ去ってしまっ たケースや、日本で暮らしていた外国人の親が子どもを外国に連れ去ってしまった ケースなどが考えられます。 このように国境を越えて子どもの連れ去りが行われた場合、国内法に基づいては 何の請求もできないため、多くの場合、長期間が経過するうちに 子どもが新たな生 活に馴染んでしまい、不法な連れ去りが「逃げ得」になってしまいます。そのため、 こうしたケースにどう対処するか、ということが、近年問題になっています。 (2) 1980年、ハーグ国際司法会議で「ハーグ条約」が採択されました。正式名称 は、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」といいます。 この条約は、不法に他国に連れ去られた16歳未満の子どもを、連れ去られる前に その子が居住していた地に速やかに帰すことができるように、必要な国際協力のシ ステムや子の返還を命ずる手続などを規定しています。 (3) どのような手続になるのか、例を挙げてみます。 国際結婚をした夫婦(A国人とB国人)がいて、A国で暮らしていたところ、B国人 の親が子どもをB国に連れ去ってしまったとします。A国とB国はどちらもハーグ条 約を締結している国です。 このとき、A国人の親は、条約の締約国の担当行政機関(条約では「中央当局」と されています)に対して救助の申立てをすることができます。この申立ては、A国に 対して行ってもいいですし、B国でも、外の締約国の中央当局でも構いません。 救助の申立てがされると、A国の担当行政機関としては、B国の中央当局に申立 てがあったことを伝え、B国と協力しながら、子を発見し、任意に引渡しがされるよう に働きかけたり、親に助言を与えたり、裁判所に対して申立てをしたりしなければな りません。 子どもが現在いる場所の裁判所は、申立てがなされた場合には、不法な連れ去り から1年以内であれば、例外的な場合にあたらないかぎり、直ちに子の返還を命じ ます。1年を経過していても、子どもが新しい環境に馴染んでいることが証明されな い限り、返還を命じることとされています。 (4) 注意が必要な点ですが、このハーグ条約は、子どもの監護権がどちらの親に あるか、を決定するためのものではありません。子どもの監護権について判断する には、それまでの子どもの成育環境など様々な事情を考慮する必要があります。 そうした事情をより適切に判断できるのは、子どもの「常居所」(平常の居所)のあ る国であるはずだ、という観点から、まずは迅速に子どもを戻そう、という制度として 作られています。 (5) 現在、いわゆる「先進国」はすべてハーグ条約を締結しています。 日本は、まだ締結には至っていませんが、2011年5月に締結するという方針を打ち 出し、国内法の整備に向けて準備を進めていました。2012年3月には国会にハーグ 条約と関連法案が国会に提出され、現在審議中です。 ハーグ条約を締結すべきかどうかについては、現在でも、様々に議論されています。 賛成の意見としては、国際的な子どもの連れ去り事案を解決するためのルールと して意義があることや、日本人が子どもを連れて帰国する例が現在でも起きている ため、他国から締結を求められているという現状が指摘されています。 他方、反対する意見としては、日本では諸外国と異なり離婚後の夫婦はどちらか 一方が単独で親権をもつとされているため、日本人の親には子どもを連れて実家に 帰国することが違法だとは考えられてこなかった点、海外でDVを受けて子どもを連 れて日本に帰国した母親が、再び夫のいる国へ子どもを連れて戻らなければなら なくなり得る点などが挙げられています。 難しい課題がいろいろありますが、「子どもにとっての最善の利益」を実現する、と いう観点から、今後も議論を深めていく必要のある問題です。 ┏━┓ ┃2 ┃事務局コラム  「法律事務員って?」  事務局K ┗━╋…───────────────────────────── よく「法律事務員って何をしているの?」と聞かれます。 事務というと、一般的には受付、電話対応、スケジュール管理、書類管理、コピー 取り等の業務を行いますね。法律事務はそれに加えて、法律業務として弁護士の 補助業務を行います。弁護士の指示のもと、公的な書類の取り寄せや申請、裁判 所など関係先へ提出する書類の下準備などを行います。 また、他法律事務所、検察庁、裁判所とのやり取りをする上で、必然的に法律専 門用語に慣れなくてはなりません。「ジンソニフチョウショウメイ出して」と弁護士に言われ れば、「(管轄の)家庭裁判所の家事部人事訴訟係に調停不成立証明を出して」と 理解し、該当の書面を提出します。当該書面が無ければ調停が係属していた裁判 所に交付申請をします。 弁護士が裁判所へ出かけるなど不在時にいただいたお電話は事務局が伝言をお 受けし、電話があった旨を弁護士に伝えます。もちろん、弁護士同様に守秘義務が ありますのでご安心ください。お気軽にお電話くださいね。 ┏━┓ ┃3 ┃裁判・司法情報  事務局 長尾忠昭 ┗━╋…───────────────────────────── 1 反原発デモ 日比谷公園使用認めず http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-06/2012110601_04_1.html 「11・11反原発1000000人大占拠」行動でデモ行進の出発地である日比谷公 園の使用を東京都が認めず、裁判でも認めないとの決定が出されました。東京都 いいなりの裁判所は許せません。 市民の表現の自由・集会の自由を脅かす重大な問題です。 2 東電女性再審 “暗黒司法”そのものだ http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012103002000115.html 東京電力の女性社員殺害事件でゴビンダさんの無罪は確実となっています。検 察のみならず裁判所もなぜ彼を犯人としたのか、徹底的に検証されなければなりま せん。 ┏━┓ ┃4 ┃行事案内 ┗━╋…───────────────────────────── <ホウネット法律講座のご案内> 11月15日(木)18時30分〜20時30分 「必携! あなたを守る労働法・・・解雇、退職強要とのたたかい方」 講師:弁護士 加藤悠史    会場:ウインクあいち 12月5日(水)14時〜16時 「知っておきたい相続の基礎知識」 講師:弁護士 山内益恵 会場:名古屋市西生涯学習センター <くらし支える相談センター 生活保護無料電話相談会のお知らせ> 日 時    11月29日(木)13時〜17時 電話番号  052−916−7702 相談員   生活保護業務経験者、弁護士 生活保護に関することであれば何でも相談を受け付けます。 相談料は無料です。 なお、上記日時以外でも、相談センターでは、平日(13時〜17時)毎日 相談を受け付けていますので、遠慮なくお電話ください。 http://www.kurashi-soudan.info/ http://ameblo.jp/kurashisoudan/ ■ 編 集 後 記  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 池井戸潤が事務所ではやっています。下町ロケットで直木賞受賞。私は、まだ下町 ロケットは購入しただけで読んでいませんが、空飛ぶタイヤ、ルーズヴェルト・ゲー ム、果つる底なきの3作を読みました。ロスジェネの逆襲もおもしろそうです。効率化 優先、もうけ優先の社会に問題を投げかけ、生きる希望が出てくる作品です。 皆さんも是非。(N・T) /\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/ 【ホウネットメールマガジン】 発 行 日:月1回 発行開始日:2010年4月12日 ご意見ご感想はこちらまで https://g104.secure.ne.jp/~g104135/contact/ バックナンバーはこちらから http://www.kita-houritsu.com/?cat=50 本メールマガジンの解除はこちらから https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ —————————————————————— ////////////////////////////////////////////////////////////////// ■   弁護士法人名古屋北法律事務所 ■   暮らしと法律を結ぶホウネット ■■ ■■  〒462-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル ■■■  TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ■■■■ MAIL:info@kita-houritsu.com ■■■■ HP:http://www.kita-houritsu.com/ //////////////////////////////////////////////////////////////////

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