文字サイズ 標準拡大

メールマガジン

ホウネットメールマガジン Vol.30

2013年1月23日

◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆◆◆  ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆◆◆   ★ホウネットメールマガジン★  vol.30  2012年12月27日配信 ◆◆    ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ _/_/_/_/_/ I N D E X _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 1 ワンポイント法律知識 連載「成年後見制度について」 弁護士 矢崎暁子 2 事務局コラム  3 裁判・司法情報 4 行事案内 5 編集後記 ┏━┓ ┃ 1┃ ワンポイント法律知識 連載「成年後見制度」 2 弁護士 矢崎暁子 ┗━╋…───────────────────────────── 1 成年後見制度の概要  前回、成年後見制度は、判断能力の低下した人の自己決定権を尊重しながら支  援する制度だ、ということをお話ししました。  以下では、成年後見制度の概要についてお話しします。少し長くなってしまいまし  た。 2 成年後見制度の種類  成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度と、大きく2つに分けることがで  きます。どちらも、精神的な障がいにより判断能力が低下している 場合にのみ利  用できる制度です。  例えば、認知症、脳梗塞や事故による脳機能障害、知的障がいや精神障がいな  どによって判断能力が不十分になった場合には、成年後見制度を利用することが  できます。他方、たとえ一人での財産の管理や処分が難しいとしても、それが身体  的な障がいが理由である場合には、成年後見制度を利用す ることはできません。 (1)法定後見制度  法定後見制度とは、精神上の障害により判断能力が不十分となった場合に、家  庭裁判所の審判(裁判の一種です)により、後見人等を選任する制度です。 (2)任意後見制度   任意後見制度とは、判断能力が十分にあるうちに、将来に備えて、信頼できる誰  かと「任意後見契約」を結び、判断能力が不十分な状況になった場合に、その人  が任意後見人となって財産管理等の処理をすることを委任する、という制度です。  今回は、法定後見制度について説明をしていきます。 3 法定後見制度の3類型   法定後見制度では、本人の判断能力の程度に応じて3つの類型が設けられてい  ます。本人の財産管理権を過剰に制約しないため、このような分類を して成年後  見人等の権限内容に差を設けています。 (1)後見   後見は、「精神上の障がいにより事理を弁識する能力を欠く常況にある」場合に  利用できる制度です。これはつまり、判断能力を欠いている時間が 生活の大部分  を占めている状態のことをいいます。   例えば、家族の名前や自分の生年月日、今いる場所がどこか、などがわからな  くなっている方が、これにあたります。   後見類型にあたる場合には、自ら契約をすることもできない状態にあるのが通常  です。そのため、成年後見人に全面的な代理権をもたせ、本人のために必要な契  約ができるように制度設計がされています。 (2)保佐   保佐は、「事理弁識能力が著しく不十分な」場合に利用できる制度です。   特に不動産などの重要な財産の取引について、自分一人では契約の利害得失  を十分に判断できない方が、この類型にあたります。   保佐類型にあたるのは、ある程度判断能力がある、という方です。ただ、一定の  重要な取引類型については保佐人が同意権・取消権をもつことによ り、本人に不  利益な契約を取り消すことができるようになっています。 (3)補助   補助は、「事理弁識能力が不十分な」場合に利用できる制度です。   例えば、普段は仕事や家事を問題なくできるが、たまに失敗してしまう、また訪問  販売のセールスに弱く、必要もないのに高額な商品を買ってしま う、など、一人で  契約の利害得失を判断することに不安がある、という方がこの類型にあたります。  補助類型にあたるのは、特定の重要な取引については誰かのサポートがあった  方がいいが、普段の生活は一人でできる、という方です。そのため、 不動産売買  など特定の取引類型についてだけ補助人に同意権・取引権をもたせる、という選択  ができます。  以上、3つの類型について説明しましたが、実際のところ、どの類型に当たるか、  特に保佐と補助の違いという判断はとても微妙です。そのため、 まずは病院で診  断してもらいましょう。 4 法定後見制度の効果   法定後見制度を利用すると、具体的にはどうなるのでしょうか。家庭裁判所での  手続は次回みることにして、まずは審判が出た後の効果についてみていきます。 (1)後見  まず、財産に関する法律行為や訴訟行為について、成年後見人が全面的に代  理権をもちます。   また、本人のした契約などの法律行為については、日常生活に関する行為を除  き、成年後見人が取消権をもちます。   上で書いたように、後見の類型にあたる方は、一人で契約をすることができない  状態にあるのが通常です。そのため、成年後見人が本人に代わって 必要な契約  をできるようになっています。また、本人が契約をすることもできますが、その契約  が本人にとって不利益なものである場合には、成年後見 人が取り消すことができ  るようになっています。   もっとも、結婚や離婚、遺言など、身分行為といわれる行為については、成年後  見人が代理をしたり取り消したりすることはできません。これらの 行為は、性質上  本人自身が決めるべきもので、他人が口出しすべきではありませんから、成年後  見が開始しても、本人が一人で有効に行うことができます。   日常生活に関する行為とは、食べ物や洋服を購入するなどの行為が典型的で  す。こうした行為も、本人が一人で有効に行うことができます。 (2)保佐   保佐の場合は、一定の重要な取引を本人が行う場合には保佐人の同意がなけ  ればならない、ということになります。もっとも、保佐人が同意しないときには、家庭  裁判所で「同意に代わる許可」を得ることができます。   同意が必要とされている行為としては、例えば、お金の借り入れ、保証人になる  こと、不動産の売買、遺産分割、訴訟行為、不動産の改築などが挙げられていま  す。   こうした同意の必要とされる行為について、同意のないまま本人が行った場合に  は、保佐人が取り消すことができます。本人は、ある程度判断能力 はあるのです  が、重要な契約等のメリット・デメリットを十分に判断することができない状態にあ  るため、本人にとって不利益な場合には保佐人が取り消すことで、本人の利益を  適切に守ることとしているのです。もちろん、本人自身が取り消すこともできます。   保佐にあたる方は自分で契約をすることができるため、基本的には保佐人に代  理権は必要ありません。もっとも、特定の法律行為については保佐人 が代理でき  るようにしたい、というときには、家庭裁判所の審判によって保佐人に代理権を与え  ることもできます。   本人以外の人が代理権の付与を求めた場合には、本人がこれに同意しなけれ  ば、保佐人に代理権が付与されることはありません。これは、自己決定の尊重の  ためです。   身分行為や日常に関する行為については、後見の場合と同じです。 (3)補助   補助の場合も、基本的には本人が判断できるのが前提です。そのため、本人の  判断に不安のある特定の財産的な法律行為についてのみ、家庭裁判所 の審判に  より補助人に同意権を与えることができます。   同意の必要な行為について補助人の同意のないまま本人が行った場合には、  本人と補助人はこれを取り消すことができます。補助人がついているからといって  本人との取引がすべて取り消される可能性がある、というわけではありません。補  助人の同意が必要とされている行為以外は、本人がすべ て一人で有効に行うこと  ができます。   特定の法律行為について補助人に代理権を与えることができるのは、保佐の場  合と同じです。   本人以外が代理権をつけるよう申し立てたときに、本人の同意がない限り補助人  に代理権は付与されない、というのも保佐の場合と同じです。  身分行為や日常に関する行為については、後見・保佐の場合と同じです。 5 まとめ   判断能力の低下の度合いは、実際には3つだけに分類できるものではありませ  ん。また、判断能力が残っていればいるほど、悪質な訪問販売などの 被害にあう  可能性は、かえって高いともいえます。   本人の意思を尊重し、本人にとって最も望ましい形で本人の利益を守れるよう、  同意権や代理権についても、本人と相談しながら、適切に使っていくことが必要と  いえます。 ┏━┓ ┃2 ┃事務局コラム  「NHK朝ドラ「純と愛」に期待」  事務局S   ┗━╋…─────────────────────────────  NHKの朝の連続テレビ小説「純と愛」をご存じでしょうか。私は、毎朝出勤前にこれ を見るのを楽しみにしています。  主人公は純(じゅん)という名の若き女性。その恋人役は愛(いとし)という男性で す。愛は人の深層心理が見えてしまい、人との関わりの中で傷ついてしまう不器用な 存在です。  一方、純は破天荒で直情的に行動しますが、熱く純粋な想いとは裏腹に、個人 プレイが裏目に出て、組織の中ではうまくいきません。  ドラマはこの二人を中心としたドタバタ劇で、いい意味で気楽に見ていられる物語 ですが、社会派を思わせる場面も出てきます。純の勤めるホテルが経営不振で、外 資系企業とやむなく合併。社員がリストラされ、職場環境も徹底的に合理化されま す。表面的な利益ばかりでなく、ホテルにやってくる人たちの心のオアシスでありた いという純たちの願いが、外資の非常な経営論理の中で揺さぶられます。働くという ことは、どういうことなのでしょうか。働いて糧を得る中で、私たちは、何が問われて いるのでしょうか。厳しい経済情勢は、のんびりゆったり過ごしていたいと思う人々に も、成果ややりがいの問題を鋭く突きつけてきます。  私は、バブルやその破綻、不景気をつくり出す社会的背景に目を向けながら、そ んな中でもたくましく生きていきたいなぁと、漠然と思います。周りの人と、こういうドラ マを通じて、そんなことを話せたらと思っています。 ┏━┓ ┃3 ┃裁判・司法情報  事務局 長尾忠昭 ┗━╋…───────────────────────────── 1 舞鶴高1殺害、被告に逆転無罪 目撃証言の信用性否定  舞鶴市で2008年5月、府立高校1年の小杉美穂さん(当時15)を殺したとして、 殺人と強制わいせつ致死の罪に問われた無職 中勝美被告(64)の控訴審判決が 12日、大阪高裁であった。無期懲役(求刑死刑)とした一審・京都地裁判決を破棄し 逆転無罪を言い渡した。  http://www.asahi.com/national/update/1212/OSK201212120028.html  逮捕された時点から注目をしていましたが、無理な逮捕だとと思っていました。 2 司法修習給費制復活して 新人弁護士会見 “600万借金でスタート”  http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-21/2012122101_04_1.html  借金スタートの弁護士生活も大変ですが、その上、法律事務所に就職できない新 人弁護士も多数います。 3 弁護士の“就職難”が深刻化  http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121221/k10014340751000.html  弁護士になれても、弁護士会に登録しない人が540人もいるとのこと。   法曹人口増大路線の問題点が現れています。 ┏━┓ ┃4 ┃行事案内 ┗━╋…───────────────────────────── <くらし支える相談センター 進路・進学無料電話相談会のお知らせ>  日 時    1月9日(水)13時〜17時  電話番号  052−916−7702  相談員   元高校教員(県立・私立)  進路・進学に関することであれば何でも相談を受け付けます。  相談料は無料です。  なお、上記日時以外でも、相談センターでは、平日毎日相談を受け付けています ので、遠慮なくお電話ください。  http://www.kurashi-soudan.info/  http://ameblo.jp/kurashisoudan/ ■ 編 集 後 記  ━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥……… 総選挙が終わり、あっという間に今年もあとわずか。 選挙前にできた政党が早くも分裂騒ぎ。なんじゃそれ。 地道に丁寧に地域で活動を続けることが大切なのだと思います。 でも来年の夏までには飛躍的な活動も必要かも。 よい年をお迎えください。事務局N /\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/ 【ホウネットメールマガジン】 発 行 日:月1回 発行開始日:2010年4月12日 ご意見ご感想はこちらまで https://g104.secure.ne.jp/~g104135/contact/ バックナンバーはこちらから http://www.kita-houritsu.com/?cat=50 本メールマガジンの解除はこちらから https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ —————————————————————— ////////////////////////////////////////////////////////////////// ■   弁護士法人名古屋北法律事務所 ■   暮らしと法律を結ぶホウネット ■■ ■■  〒462-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル ■■■  TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ■■■■ MAIL:info@kita-houritsu.com ■■■■ HP:http://www.kita-houritsu.com/ //////////////////////////////////////////////////////////////////

このページの先頭へ