中小企業メールマガジン №19
2011年3月28日
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 弁護士法人名古屋北法律事務所 ホウネット 中小企業メールマガジン No.19(2011年1月21日発行) _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ∞∞∞I N D E X∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ○コラム ◆◇中小企業と交通事故の深い関係(2)◇◆ 弁護士 長谷川一裕 ◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆ 『債権の回収(4)―強制的回収―』 弁護士 加藤 悠史 ○編集後記 ■□コラム━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇中小企業と交通事故の深い関係(2)◇◆ 弁護士 長谷川一裕 今回は、社員が交通事故を起こした場合の会社の責任です。 この場合、社員が加害者となる場合、被害者となる場合の双方が考えられますが、今回は前者を取り上げます。 社員が会社の社用車を運転して業務に従事している時に交通事故を起こした場合に、会社に損害賠償責任があることはご存じと思います。 この場合、会社の賠償責任の根拠は二つあります。 第1 自動車運行供用者としての責任 自動車損害賠償保障法は、「自動車を自己のために運行の用に供する者」=運行供用者が賠償責任を負うことになっています。 会社所有の自動車ではなく従業員の所有車両を業務に使用させていた場合にも、会社は運行供用者としての責任を負担することになります。 自動車の「運行供用者」とは何かという問題は、実は簡単な問題ではなく、例えば、社員が勤務時間外に私用で会社の保有自動車を運転して事故を起こした場合でも、会社が私的使用を黙認していると認められる事情かがある場合や車両の管理が杜撰である場合等には、会社が運行供用者責任を負うこともあります。 第2 使用者責任 民法715条は、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えた場合」には、使用者が損害賠償責任を負うとしています。 この規定は、会社のリスク管理を考える上で不可欠の規定であり、交通事故にとどまらず被用者の起こした不法行為については、業務との関連性がある限り会社が賠償責任を負うことを銘記する必要があります。 この業務との関連性については、判例は外形標準説という考え方に立っており、業務そのものではない場合でも責任が認められる場合があります。 重要なのは、社員がマイカーを使用して通勤中に事故を起こした場合にも、会社の運行供用者責任が認められるケースがあるということです。 会社の責任の有無は、以下の要素が影響します。 (1) 全く通勤にのみ使用し、社用に使用していないか。 (2) 職務の性質上マイカーで通勤の必要があるか。 (3) そのことにより直接的にも間接的にも会社が何らの利益を得ているか。 (4) ガソリン代や修理代の負担などマイカーの運転を助長する措置を会社が取っていないか。 この判断はケースバイケースで行われます。 そこで、会社のリスク管理としては、上記の4つの要素を念頭においた対策とともに、自衛策が必要です。 少なくとも、社員のマイカー通勤を認める場合には、充分な損害保険に加入することを絶対条件とし、損害保険証のコピーを提出させる等厳しく管理すること、飲酒運転をしないよう、厳しく指導すること、忘年会等の宴会があるような時は特に注意すること、定期的に、安全運転講習会等、安全教育を行うこと等が求められていると考えます。 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ ◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆ 『債権の回収(4)―強制的回収―』 弁護士 加藤 悠史 さて、前回は弁済督促について解説しました。 督促のやり方は法律の専門家よりも経営者の皆さんの方がよくご存じかもしれません。 しかし、いくら督促しても支払ってくれない場合には、ほかの方法を検討しなければなりません。 債務者から直接回収する財産の見込がある場合には、強制執行による回収が考えられます。 強制執行をするためには、債権があるとか契約書があるというだけではダメで、債務名義が必ず必要になります。 債務名義といわれても何だか分からないと思われるかと思いますが、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在、範囲、債権者、債務者を証明した公の文書のことです。 具体的には、(1)確定判決、(2)仮執行宣言付支払督促(3)和解調書、(4)執行証書、(5)調停調書などがあります。 では、債務名義はどうすれば取得できるでしょうか。 (1)判決 判決を得るためには訴訟を提起する必要があります。 場合によっては費用や労力が掛りますが、債務者の意向に関わらず行うことができます。 訴訟にも通常訴訟のほか、60万円以下の請求の簡易な事件の場合の少額訴訟、手形金を請求する場合の手形訴訟などがあります。 (2)和解調書、調停調書 裁判等の手続中に話し合いがまとまれば、和解調書が作られ、これも債務名義になります。 また、民事調停や家事調停で調停がまとまれば調停調書が作成されますが、これも債務名義になります。 (3)執行証書 強制執行ができる公正証書のことです。 公正証書のうち、(ア)金銭の一定額の支払い等を求める内容のもので、(イ)債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述(執行受諾文言といいます)が記載されている場合に、公正証書も債務名義となります。 何でも公正証書があれば強制執行ができるわけではないことは注意が必要です。 事前に話し合いがまとまっている場合には、迅速に債務名義を得ることができるため債務者が協力的な場合には有効です。 その他、支払督促など債務名義を得るための簡易な手続もありますが、債務名義を得たら、次は強制執行をしなければ債務名義だけでは何の満足も得られません。 次回は、強制執行の種類などについて説明します。 ■□編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ あけましておめでとうございます。 今年は卯年。飛躍の年ということで、名古屋北法律事務所は10周年を迎えます。 中小企業の社長さん達とのかかわりを始め、高齢者問題、地域とのつながり強化など、事務所とホウネットでは様々な取り組みを始めるために準備を進めています。 今後とも当事務所とホウネットをよろしくお願いいたします。 当メールマガジンにご感想や御意見がございましたら、下記アドレスにて返信してください。 ↓↓↓↓↓ご感想や御意見はこちらから↓↓↓↓↓ hounet-sme@kita-houritsu.com ↓↓↓↓↓ブログのバックナンバーをご覧できます↓↓↓↓↓ https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 【中小企業メールマガジン】 中小企業メールマガジン No.19(1月21日発行) 発行日:月2回・月曜日発行(休刊:祝日、年末年始など) 創刊日:2010年4月5日 ↓↓↓↓↓本メールマガジンの登録はこちらから↓↓↓↓↓ hounet-sme@kita-houritsu.com ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【発行元】 ======= 弁護士法人名古屋北法律事務所 ====== ======= 暮らしと法律を結ぶホウネット ======= ─┌──┐ 〒469-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル ─│\/│ TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ─└──┘ MAIL: hounet-sme@kita-houritsu.com HP:http://kita-houritsu.com/ Copyright(C) 名古屋北法律事務所 All rights reserved.