中小企業メールマガジン №27
2011年7月21日
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 弁護士法人名古屋北法律事務所 ホウネット 中小企業メールマガジン No.27(2011年5月10日配信) _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ∞∞∞I N D E X∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ○コラム ◆◇サンデル◇◆ 弁護士 長谷川 一裕 ◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆ 『債権の回収(12)―債権譲渡―』 弁護士 加藤 悠史 ○行事案内 【ご注意】5月29日鎌田實さんの記念講演は、ホールが満席になりました。今後のお申し込みはライブ中継による第二会場へのご案内となります。 ○編集後記 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ■□コラム━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇サンデル◇◆ 弁護士 長谷川 一裕 ハーバード大学の講義録という硬い内容でありながら、日本でベストセラーになっているマイケル・サンデル教授の「今、正義の話をしよう」を読みました(弁護士仲間で英語の勉強会をしており、そのテキストとして英語版を使用しています)。今回は、少し硬いテーマになりますが、同書の書籍紹介をさせていただきます。 内容は、政治哲学史の入門書という感じですが、サンデル教授と親しい小林正哉教授(法哲学)は、このような書物がベストセラーになった原因について、わかりやすい具体例を挙げていること、自説を押しつけず討論形式で読者に考えさせる内容となっていることを指摘しています。 以下、中小企業メルマガですから、経済に関するテーマを取り上げつつ紹介を試みましょう。 例えば、サンデルは、冒頭ハリケーン「カトリーナ」大災害を受けた直後、被災地で、家屋の修理代金、緊急日用品、モーテル代等の便乗値上げが広がったこと、それに対し州政府が便乗値上げを規制する州法を適用して取り締まったことを取り上げています。この便乗値上げ規制は、どのような根拠に基づくのか。反対論は、高価格のビジネスを認めれば業者が利益を求めて参入し、結果的に被災者の必要とするサービスの供給が増えることになると主張します。これに対し、賛成論は、消費者の不幸に乗じて暴利を貪ることは道義上許されないと批判するのですが、この根底には、政治哲学に関する基本的な思想の対立があるとして、読者を政治哲学に関する主要な潮流の間の論争史に引き込んで行きます。 また、サンデルは、米国における所得格差の拡大をどう考えるかを論議の俎上に乗せて上で、バスケットボールのマイケル・ジョーダン選手の高年俸、これに対する所得再分配のための累進課税の妥当性を例として論議を進めています。米国では、リバタリアンと称する思想潮流が有力です。個人の自由を大義名分にして、所得再配分のための高率の所得税は個人の財産権に対する侵害であるとか、雇用・性別等を理由とする雇用関係の差別の規制を含む経済関係に対する政府の介入を否定します。これに対して、ベンサム、ジョン・スチュアート・ミル等の功利主義は、最大多数の幸福を計ることが政治の目標である以上、所得再配分の受益者の幸福のためにジョーダン一人の財産権が制約されてもやむを得ないと考えます。サンデルは、この二つの立場を軸にしながら、いずれも問題があるとして論議を進めていくのです。ジョーダンがバスケットボールで活躍でき高額報酬を獲得できるのは、彼の功績だけに帰するべきものなのか、努力をするという素質自体、一定の社会的家庭的環境のもとで獲得されるものではないのか(努力に対する功績として高額報酬は当然であるという主張について)といった論議を丹念に進めていきます。 紙数が尽きましたが、なかなか興味が尽きない書籍です。政治や哲学に確信や知識がない方でも、わかりやすく読むことが出来ます。是非、中小企業メルマガの読者の皆さんにもご一読をお勧めします。 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ ◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆ 『債権の回収(12)―債権譲渡―』 弁護士 加藤 悠史 前回は相殺による債権回収でしたが、今回は債権譲渡による債権回収についてです。 債権譲渡も、聞いただけでは債権回収とどんな関係があるのか分からないかもしれません。 具体的な事例で考えてみましょう。 例えばA社がB社に対して、100万円の売掛金を持っているとしましょう。しかし、B社はお金がないといって、なかなか支払ってくれません。一方で、B社はC社に対して売掛金が100万円ありました。このような場合に、A社としては、C社と交渉をして、100万円のB社に対する債権を買ってもらうのです。もし、C社がこれに応じてくれた場合には、A社はC社への債権売却代金で売掛金を現実に回収することができ、C社も譲渡された債権とB社に対する債務とを相殺することによって、100万円のB社に対する買掛金が消滅することができるのです。 A社としてはB社から回収に困っていたわけですから、100万円の売掛金をC社へ90万円ほどに値引きして売却しても、現実に回収できれば満足でしょう。また、C社も90万円を支払って100万円の債務が消滅すれば、うれしい話です。 現実には、C社からの入金によりキャッシュが手に入ることを期待していたB社は困るかもしれませんが、もともと債務の支払いを怠っていたのですからやむを得ません。ただ、A社としても、B社との関係は継続することは難しいと思いますので、今後は取引を終了してもいい相手と考えている時などに利用します。 強制執行の手続とるならば、A社は債務名義をとって、B社からC社への売掛金を差し押えて、C社から回収するという手順を踏まなければなりませんが、C社と交渉することによって、同じ効果が得られるのです。 債権譲渡の際に気を付けることは、債務者に対して譲渡人から通知が必要な点です。第三者に対しても債権譲渡を主張するには確定日付(通知した日を公的に証明できること)が必要ですので、内容証明郵便を利用するのが一般的です。 もし、債権回収に困っている場合には、こういった方法も考えてみてください。 ■□行事案内━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★鎌田さんの講演会が大変好評につきホールが満席になりました★ 【暮らしと法律を結ぶホウネット第8回総会&名古屋北法律事務所設立10周年記念行事『つながる未来へ』】 とき:5月29日(日) 場所:ウィルあいち ☆総会☆ 13:00〜14:00 ウィルあいち 大会議室 参加費用:無料 ☆鎌田實さん講演会☆ 15:00〜16:30 ウィルあいち ウィルホール 参加費用:1,000円(会員,70歳以上の方,障がい者の方は500円) 【ご注意】講演会のホールが満席になってしまいました。今後お申し込みされる方は、ライブ中継による第二会場にての聴講となりますことをご了承ください。 ☆懇親会〜つながる夕べ☆ 17:00〜19:00 ウィルあいち 大会議室 参加費用:2,000円(軽食を用意いたします) ※参加ご希望の方は、事務所までご連絡ください(申込専用電話:052-916-7702) ■□編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ゴールデンウィークを利用して北海道へ旅行してきました。 このような時期に旅行なんかしても良いものかギリギリまで迷ったのですが、GWだというのに直前でも飛行機は空席だらけで、簡単に予約できてしまいました。繁忙期にも関わらず、飛行機代もホテルもかなり安かったです。国内の旅行者は言うに及ばずですが、外国人旅行者が激減した影響だと思われます。近年北海道は海外からの旅行者がかなりの割合を占めているので、大打撃でしょう。 こんな時だからこそ、積極的に国内旅行をして経済の復興につながればと自分を納得させて楽しんできました。(F) ↓↓↓↓↓ご感想や御意見はこちらから↓↓↓↓↓ hounet-sme@kita-houritsu.com ↓↓↓↓↓ブログのバックナンバーをご覧になれます↓↓↓↓↓ https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△ 【中小企業メールマガジン】 中小企業メールマガジン No.27(2011年5月10日発行) 発行日:月2回・月曜日配信(休刊:祝日、年末年始など) 創刊日:2010年4月5日 ↓↓↓↓↓本メールマガジンの登録はこちらから↓↓↓↓↓ hounet-sme@kita-houritsu.com ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 【発行元】 ======= 弁護士法人名古屋北法律事務所 ======= ======= 暮らしと法律を結ぶホウネット ======= ─┌──┐ 〒462-0819 名古屋市北区平安二丁目1-10 第5水光ビル3階 ─│\/│ TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ─└──┘ MAIL: hounet-sme@kita-houritsu.com HP:http://kita-houritsu.com/ Copyright(C) 名古屋北法律事務所 All rights reserved.