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メールマガジン

中小企業メールマガジン No.11

2010年11月10日

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弁護士法人名古屋北法律事務所 ホウネット
          中小企業メールマガジン No.11(9月8日発行)

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9月になりました。暦の上ではもう秋です。しかし、まだ、夏の気候が続
き、9月に入っても気温は30度を超える日が続いています。夏の気候は続
いていますが、朝夕にさわやかな風が吹き涼しくなるなど、すこしずつ
秋の気配を感じるようになりました。もう、一か月もすると、この暑さも
和らぎ、過ごしやすい気候になると思います。

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○コラム
◆◇「中小企業における「取締役の責任」問題 (2)」◇◆
 『取締役が経営判断について責任を問われることは例外』
弁護士 長谷川 一裕 

◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆
   『労働者の健康と安全(11)−通勤災害について−』
    弁護士 加藤 悠史

◆◇「第4回ホウネット経営塾」◇◆
  『経済の収縮時でも利益の出る企業体質強化へ』
    ―(株)リバイブ 代表取締役 平沼辰雄氏の講義より―

   ホウネット経営塾 塾長・参与 立木勝義

○ホームページ更新情報 

○編集後記

■□コラム━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆◇「中小企業における「取締役の責任」問題 (2)」◇◆
 『取締役が経営判断について責任を問われることは例外』
    弁護士 長谷川 一裕 

 前回は、取締役の権限と責任、会社における取締役会の役割がテーマでし
たが、今回は、取締役の責任における問題点の一つ、「経営判断の原則」につい
てお話します。

(経営上の判断)
 会社経営においてその営業規模を維持し発展させるためには、ときに冒険的な判断をすることが必要となる場合があります。また、従来は順調に経営され
てきた会社において、多少経営状態が悪化したからといって直ちに取引を中止
するわけにもいきません。このように、会社の経営には多かれ少なかれリスクが
伴うのが通常です。そして、その際のリスクが現実化し結果的に会社に損害をも
たらしてしまうことも起こりうることです。

 この場合、取締役の経営判断に基づく事業の失敗が結果的に会社に損害を
生じさせたからといって、直ちに取締役の会社への損害賠償責任が認められて
しまえばどうなるでしょうか。取締役はそのような責任追及を怖れて委縮してしま
い、会社のためになるような利益追求の機会をも避けるような判断をするように
なってしまいます。

 そこで、必要となる考え方が「経営判断の原則」です。この原則は、「取締役
は経営上の判断の誤りについては、会社に対し過失による責任を負わないもの
とし、裁判所も原則として経営上の判断の適否については干渉せず法律問題と
しない」という法則です。もっとも、ありとあらゆる経営判断について責任が認め
られないわけではなく、取締役の判断が著しく不当である場合には善管注意義
務違反の責任を負うことになります。

(具体的には)
 それでは、どのような場合に取締役の責任が認められ、どのような場合に責
任が否定されるのでしょうか。一般的には、取締役が判断した当時の状況に照らして合理的と考えられる情報収集・分析、検討がされたか否かが指標となりま
す。
またそれに加え、その経営判断の種類(貸付け、子会社の支援、新規事業、投
機行為)に応じて、さまざまな要素が検討されます。たとえば、新規事業の開始
であれば、会社の現状、従前の本業の業績予測、新規事業の現状及び将来
の動向、市場調査、投資額、資金調達の方法などの情報を収集・分析、検討し、不注意な誤りのない認識をもって経営判断をしたか否かがポイントとなります。

 ちょっと複雑なようにも思えますが、ひとことでいうならば、「その経営判断が
通常の企業経営者として著しく不合理なところがなかったかどうか」という点が、
取締役責任の有無の分かれ目になるといってよいでしょう。

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◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆
   『労働者の健康と安全(11)−通勤災害について−』
             弁護士 加藤 悠史

 労災についての連載が続いていますが、今回は通勤災害についてのポイン
トです。

 労災制度の最初にお話ししましたが、業務上の災害の場合には、もともと使
用者には補償責任が発生していて、その負担軽減や担保のために保険制度として労災保険があるんですね。ところが、通勤中の災害には、直接は、使用者に責任はありませんが、勤務との関連性が強いということで、昭和48年の法改正により導入されました。

 通勤災害の場合に、よく問題になるのは、通勤にあたるかどうかです。
 労災保険法では、「通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」とされています。但し「労働
者が、前項の往復の経路を逸脱し、又は同項の往復を中断した場合」は通勤と
しないとされていて、逸脱・中断についても、それが「日常生活上必要な行為で
あって労働省令で定めるやむを得ない事由により行う為の最小限度のものであ
る場合は」逸脱・中断としないと規定されています。

 法律は読んでも難しいことが書いてありますね。もう少し事例を交えながら
説明したいと思います。

 今回は前半部分についてです。ここでは「就業に関し」という点がよく問題に
なります。業務終了後に組合活動やサークル活動を行った後に帰宅した場合は
どうか、出勤時刻より相当に早い時間に出勤した場合はどうか、業務終了後に
取引先との付き合いで外食後帰宅した場合はどうか、など多数の事例がありま
す。問題は、就業と帰宅との直接的関連性を失わせる事情があるかどうかで、
個別事情により判断するしかありません。業務外活動の時間の長さや場所、そ
の性質などの事情を検討して総合的に判断することになります。

 他にも、帰り道に少し寄り道をして他の職場の妻を迎えにいった場合に、「合
理的な経路」といえるか、単身赴任者が週末に家族の家へ帰った場合に「自宅」
といえるかなど他の要件も問題になることがありますが、長くなるので今回の解
説では省略します。次回は、後半部分の通勤からの逸脱や中断について解説し
ます。

◆◇「第4回ホウネット経営塾」◇◆
  『経済の収縮時でも利益の出る企業体質強化へ』
     ―(株)リバイブ 代表取締役 平沼辰雄氏の講義より―

   ホウネット経営塾 塾長 立木勝義

 第4回ホウネット経営塾の講座は、『「リバイブ」の語源は、「回復する」「復元
する」という意味です』と切り出した株式会社リバイブ(愛知県弥富市・(株)平沼
建設工業として1975年法人化・事業内容は建造物解体・産廃処理・不法投棄再
生処分工事など)の社長・平沼辰雄氏の講義でした。

  経営のことが何も解らなかった平沼建設時代、土方家業で悩んでいたとき
に同友会と巡り会い、名古屋パーティプロディースの青木社長から「嫌われてい
ることを取り除くことをはじめたらどうか」指摘されて「解体業の存在意義」と理念
に入れたのが20年以上も前です。今は、「地球クリーニング」を旗揚げして、解
体・産廃業界から都市資源の未利用資源・資源を循環資源として利用していこう
と考えています。

 つまりはゴミのマネージメントから自然と共存していく事業活動をめざしてい
こうと自社の夢を語られました。さらに、人間が人間らしく生きるために自然から
の恩恵を大切にすることが環境に一番よいことなのですと強調されました。これ
からの株式会社リバイブは地域から信頼されるかどうか−住民の賛同をいただ
けるように、より高い水準で期待に応えていきたいと抱負を語られました。

 参加者からは、エネルギーの自給自足の実践やら食の安心・安全と地産地
消の「見える化」までとりくむ平沼氏の創造に感銘を受けました。

 懇親会では、株式会社クレストさんから提供された「餌にこだわった卵」と「
普通の卵」を試食して、違いは何かを体験しました。帰りには参加者全員にクレ
ストさんの卵のおみやげまでいただき、次の講義までの再会を約しながら散会しました。クレストさん、ほんとうにありがとうございました。

■□ホームページ更新情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━

夏の青春18キップ「大糸線の旅」
      ホウネット経営塾 塾長・参与 立木勝義

 この夏2回目の18キップの旅は大糸線(糸魚川〜松本 105.4キロ)の
約半分の区間である糸魚川駅から南神城駅を制覇しました。

  http://www.kita-houritsu.com/?p=2314

■□編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━

 9月の残暑記録を塗り替えそうな暑さが続きます。
 元NHKの人気番組「週間こどもニュース」の「お父さん」役であった池上彰さ
んが、政治、経済、国際社会等についてわかりやすく解説する「そうだったのか」
シリーズが好評です。
 私は、5月にニューヨークに行く前に、予備知識のおさらいのために「そうだ
ったのかアメリカ」(集英社文庫)を読んだのですが、実に要領よくツボを押さえ、
平易な言葉で書いています。先日、日本銀行と政府が追加の経済対策、金融対策を打ち出しましたが、この際、日銀の金融政策についての基礎知識を得ようと池上さんの「日銀を知れば経済がわかる」(平凡社新書)を買って読みました。日銀とは何か、その歴史から始まって、公定歩合、政策金利の調整等の金利政策、国債の買いオペ、売りオペ等の資金流動か政策、最近まで続いた量的緩和政策の意味が良くわかりました。皆さんにも是非、一読をお勧めします。
                     弁護士 長谷川 一裕 

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