中小企業メールマガジン No.15
2010年11月10日
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 弁護士法人名古屋北法律事務所 ホウネット 中小企業メールマガジン No.15(11月9日発行) _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 第1期ホウネット経営塾を終えて 10月28日の経営塾をもって、今期の経営塾のスケジュールはすべて終了しま した。経営塾は5月27日の立木経営塾塾長の講義からはじまり、小島税理士、 加藤弁護士、株式会社リバイブ社長 平沼氏、八橋社労士、長谷川弁護士を講 師に迎え講義が行われました。講義の内容はとても興味深いもので、講義に出 るたびに新しい発見や知識を得ることができました。 計6回の講義の内容はそれぞれ異なっていましたが、一つだけ共通する内容 があったと感じました。それは、「コミュニケーションを取る」ということです。コミュ ニケーションは社会と企業という大きなかたちなものから、上司と部下、同僚と同 僚という小さなかたちのものまで様々な形態があります。そのコミュニケーション を通じて相手のことを考え行動する、また、相手に自分の意見を伝えるということ を通じて、お互いによりよい社会をつくっていくということが重要だということを全 講義に参加して感じました。 そして、経営塾の講義はただ知識だけを学ぶ場ではなく、その知識をどのよう に生かして、皆が幸せに暮らせる社会をつくっていくかということを学べる場だと 思いました。 講師のみなさん、講義に参加されたみなさん、お疲れさまでした。 ∞∞∞I N D E X∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ○コラム ◆◇「連載 取締役の責任(4) 取締役の競業及び利益相反行為の禁止について」◇◆ 弁護士 長谷川一裕 「今回は、取締役の競業及び利益相反行為の禁止について説明します。 取締役は、会社の機関として会社の利益の確保と増大のために忠実に業務 を行うべき義務があります(会社法355条)。ここから、競業の禁止、利益相反 行為の禁止という原則が出てきます(会社法356条)。」 ◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆ 『労働者の健康と安全(15)−労災申請手続−』 弁護士 加藤 悠史 「前回までで、労災についての重要な点を一通り説明してきました。最後に手 続の話をしたいと思います。」 ○ホームページ更新情報 ○行事案内 ○編集後記 ■□コラム━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇『連載 取締役の責任(4) 取締役の競業及び利益相反行為の禁止について』◇◆ 弁護士 長谷川一裕 今回は、取締役の競業及び利益相反行為の禁止について説明します。 取締役は、会社の機関として会社の利益の確保と増大のために忠実に業務を 行うべき義務があります(会社法355条)。ここから、競業の禁止、利益相反行 為の禁止という原則が出てきます(会社法356条)。 競業禁止とは、会社が行っている事業と同一の事業を取締役が行ってはなら ないというものです。取締役が、自らあるいは親族等の個人的利益を図るため、 会社の事業遂行の過程で知り得た知識や取引先との関係を利用し、自ら別会 社を立ち上げあるいは親族に立ち上げさせ、別会社に仕事を回したり利益を落と したりすることを禁止するものです。私が担当した実例では、産業廃棄物処理業 の同族会社の社長が、自分の息子を代表者にした別会社を設立させ、そこに得 意先の仕事をまわしたり、従業員に別会社の仕事をさせたりして、社長の兄弟と トラブルに発展したケースがあります。 利益相反行為は、典型的には、取締役が自己または第三者のために会社と 取引をすることです(同条1項2号)。例えば、家族の所有不動産を会社に売却し たり、逆に購入したりする行為を取り上げると、会社と取締役の利害が客観的に は相反することになりますので、これを原則的に禁止するものです。私が扱った 事例では、ある商品を輸入販売する会社の取締役が、自分が経営する別会社 に通関業務、運送業務等を委託し、不当に高額の業務委託料を支払っていたた め、株主から損害賠償請求訴訟を提起したことがあります。 取締役個人の債務、取締役の親族が経営する別会社の債務について、会社 が連帯保証することも、利害相反行為となります(同条3項目)。 これらの競業行為、利益相反行為に該当すると考えられる場合には、重要 事項を開示した上で株主総会の承認の議決が必要となります。 上記のように行為によって会社に損害が発生した場合には、取締役に賠償責 任が生じます。その際、当該取引によって取締役又は別会社が得た利益の額 が、会社の損害額であると推定できるという規定が、会社法423条2項です。こ れは、会社の損害の立証の負担を緩和して、責任追及を容易にしようとした規定 です。 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ ◆◇「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」◇◆ 『労働者の健康と安全(15)−労災申請手続−』 弁護士 加藤 悠史 前回までで、労災についての重要な点を一通り説明してきました。最後に手続 の話をしたいと思います。 労災申請は、所管の労働基準監督署に対して申請書を提出することで、申請 をします。労災保険給付の種類には何種類かあることは、すでに説明していま すが、申請書も各給付に対応した申請書の書式用意してあります。給付の種類 によって様式第○号と定められていて、「○号用紙」などと略すのはこのためで す。 企業との関係では、労災が発生したときには、労災事故発生についての証明 や休業補償給付(休んだ分の賃金)の請求には賃金額の証明を書く欄がありま す。 この証明欄を書くか書かないかで労災事故と認められるか認められないかが 決まると誤解している方がいますが、労災事故か否かを判断するのは第1次的 には労基署になりますので、証明書欄はその際の参考資料の1つにすぎません 。労災申請書作成に協力しない「労災隠し」のケースがありますが、仮に事業者 の証明書がなくても、労基署が調査の結果労災事故を認めれば、給付はもらえ ることになります。 その他、療養補償給付(医療費)の場合には病院の証明をもらうなど、個別の 申請ごとに必要な手続は異なりますが、所定の用紙を用意しておけば、誰でも 準備することができます。 労災事故か否かを判断について、さきほど「第1次的」には労基署が行うと書い たのは、労災と認められなかったときの不服申立手続が用意されているからで す。労災申請が認められなかった場合には、まずは、各都道府県労働局の労 働者災害補償保険審査官に対して審査請求(不服申立)をすることができます。 また、これでも認められなかった場合には、東京都の厚生労働省内に設置さ れた労働保険審査会に対して再審査請求(再度の不服申立)もすることができ ます。これが行政手続内で用意された不服申立ですが、それでも認められない 場合、裁判も可能です。但し、裁判をするにまずは労災申請、審査請求をおこな ってからでないとできません。自社でそういったケースがあれば、まずは専門家 の弁護士に相談するようにアドバイスするのがいいでしょう。 ■□ホームページ更新情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎HP「経営塾の報告」 経営塾講義レポートを載せてあります。是非ご覧ください。 http://www.kita-houritsu.com/?p=1837 ◎HP「知って得する法律情報」 HPにある「知って得する法律情報」では、ホウネット経営塾の講義レポートや 最新の法律情報が多くあります。是非ご覧ください。 http://www.kita-houritsu.com/lawnews/ ■□行事案内 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 いのちの山河−日本の青空2 小牧上映会のお知らせ 日時 11月27日(土) 時間 第1回 10時30分〜 第2回 14時00分〜 第3回 18時30分〜 会場 あさひホール(ラピオ5階) 名鉄小牧線・小牧駅西側 上映券 前売券 大人1200円 当日券 大人1500円,小中校生 800円 ホウネットでも前売券扱っています。 ■□編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 秋も深まりました。いかがお過ごしでしょうか。 業務多忙で、しばらく離れていたゴルフに行くようになりました。自然の中で、ボ ールを追いかけるのは、本当に楽しいですね。広いフェアウェイ(何でこんなに 広いのに、ボールはラフや両側の傾斜面に飛んでいくのでしょうね)、芝生の緑 、背景の山々、樹木の紅葉を眺めながら、知り合いの方々と回るラウンドは最高 です。 ラウンドできるのは休日が殆どですが、コンペは平日に行われることがありま す。小心者の私は、携帯の電源も入れ、最近はアイパッドも携行し、休憩中にメ ールチェック。先日は、プレー中に携帯がなり、依頼人の刑事事件で罰金額が 決まり、翌日に納付すればすぐに釈放する、という緊急連絡が入り、プレーを中 断して手配しました。なかなか、仕事の憂さを忘れてすかっと爽快に、とはいか ないようです。 12月4日、久々のゴルフコンペを名古屋北法律事務所主催で名四カントリー で行います。私のスコアの目標は110。スポーツの秋、皆さんも自然の中でゴ ルフをしてみませんか。 (弁護士 長谷川一裕) 当メールマガジンにご感想や御意見がございましたら、下記アドレスにて返 信してください。 ↓↓↓↓↓ご感想や御意見はこちらから↓↓↓↓↓ hounet-sme@kita-houritsu.com ↓↓↓↓↓ブログのバックナンバーをご覧できます↓↓↓↓↓ https://g104.secure.ne.jp/~g104135/melmag/ ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△ 【中小企業メールマガジン】 中小企業メールマガジン No.15(11月9日発行) 発 行 日:月2回・月曜日発行(休刊:祝日、年末年始など) 創刊日:2010年4月5日 ↓↓↓↓↓本メールマガジンの登録はこちらから↓↓↓↓↓ hounet-sme@kita-houritsu.com ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【発行元】 ======= 弁護士法人名古屋北法律事務所 ======= ======= 暮らしと法律を結ぶホウネット ======= ─┌──┐ 〒469-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル ─│\/│ TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727 ─└──┘ MAIL: hounet-sme@kita-houritsu.com HP:http://kita-houritsu.com/ Copyright(C) 名古屋北法律事務所 All rights reserved.