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メールマガジン

中小企業メールマガジン No.9

2010年8月6日

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 弁護士法人名古屋北法律事務所 ホウネット           中小企業メールマガジン No.9(8月3日発行) _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 中小企業メールマガジンNo.8の発行と同時に本格的な夏となり、最高気温は グングン上昇しました。天気予報で全国の最高気温の項目を見ると、東海地方 は常に日本の中でトップの最高気温となっています。 同じトップでも、皆さんに信頼され、来所された方が喜んでもらえる日本一 の法律事務所となるように頑張っていきたいです。 ∞∞∞I N D E X∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ○「中小企業における「取締役の責任」問題」       弁護士 長谷川 一裕            ○「中小企業経営に役立つワンポイント豆知識」    『労働者の健康と安全(9)−業務災害のポイント−』         弁護士 加藤 悠史 ○ホームページ更新情報  ○編集後記 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ ◆◇◆◇『中小企業における「取締役の責任」問題』◇◆◇◆ 弁護士 長谷川 一裕     先日の経営塾第3回は、取締役の責任がテーマでした(講師 加藤悠志弁 護士)。事例分析を交えつつ、わかりやすく話をしたことが好評でした。  加藤弁護士の講演を受けつつ、「中小企業実務で登場する【取締役の責任】 問題」というテーマで何回かに分けてお話しします。 1 取締役の権限と責任について  取締役は、会社の利益に忠実な立場に立って(忠実義務ともいいます)、 善良な管理者としての注意義務を果たしながら(善管注意義務ともいいます) 会社の業務執行を行う職責を有しています。取締役が複数選任され、その中 から会社を代表して業務執行にあたる代表取締役を選任する場合が通例です が、その場合には取締役は代表取締役の業務執行を監視する義務も有してい ます。  取締役がこの注意義務に反し、自己または第三者の利益をはかったり(自 己取引、利益相反行為等)、職務を怠ったりした場合には、解任の理由にな るだけでなく(取締役は任期中であっても株主総会がいつでも解任できると されています)、取締役自身が、会社に対して、時には取引先等の第三者に 対して、損害賠償という形で責任を問われることがあります。 2 取締役会  最近は、取締役会という機関を持つ中小企業も出てきましたが、これは注 意が必要です。  取締役会設置会社では、個々の取締役には業務執行権限はなく、会社の業 務執行は代表取締役が行い、取締役会は業務執行に関する「決定」を行い、代 表取締役の業務執行を監督する機関です。取締役会が設置された会社では、 本来は株主総会の権限事項とされている「重要な財産の処分又は譲受」、「多 額の借財」、支店の設置や支配人等の重要な使用人の選任・解任などは、締 役会が議決することになります。要するに株主総会の権限を大幅に縮小して、 取締役会に委ねている訳です。    昨年担当した会社経営権をめぐる事件を紹介します。同社では、三兄弟が 順次代表取締役に就任し、今では末っ子が社長です。三兄弟は株主をほぼ均 等に持ち、重要なことは株主総会や臨時の話し合いの場で、主要な株主であ る三名が話し合って方針を決め、それに従い会社を経営してきました。  ところが、意見の食い違いから会社の代表取締役が、独断で工場の土地建物 を売却しました。同社は、取締役会設置会社であったため、重要な財産の処分 などは株主総会ではなく取締役会が判断できます。工場売却に反対する兄弟2 名は、代表取締役の解任、株主総会の招集請求等の法的手段により対応しま したが、機械類や車両等は全て売却されてしまい、従業員も解雇され、事業は 閉鎖となってしまいました。根本的には、事業自体が損失を出し続けてきており 、経営の存続がピンチであったことは否めない事案でしたが。    この事件では、司法書士に全ての登記手続をまかせており、取締役会設置会 社にしたことも司法書士の判断によるものであったたようですが、関係者はその 意味を理解していなかったようです。 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ ◇◆◇◆『中小企業経営に役立つワンポイント豆知識』◇◆◇◆  「労働者の健康と安全(9)−業務災害のポイント−」          弁護士 加藤 悠史  前回は労災の給付についての話でした。業務上の災害でも通勤災害でも同 様の給付内容が規定されているのですが、給付が受けられるための要件や問 題となるポイントについて業務災害と通勤災害に分けて解説したいと思いま す。  今回は業務災害についてです。業務災害の災害とは、一般的には、使用者 の支配下において労働の提供を行う労働者の災害で、業務が原因となったも のを言います。労働時間内に、事業場内で、業務に従事している際、機械を 操作して怪我をしてしまった場合などは典型的な場合です。  労災でのポイントは、過失の有無は問題にならないことです。つまり、機 械の操作を誤ってしまった場合に、それが労働者のミスによるものであって も、補償が受けられることになります。その意味で、労働者が、使用者の安 全配慮義務違反を理由に民事賠償請求を行う場合とは異なります。この点に ついては、いずれとりあげたいと思います。    ただし、労働者が故意に災害を発生させた場合や、業務中に業務を逸脱す る恣意的行為を行っていた場合などは、この要件にあたりません。  さて、問題は、就業場所以外の出張中や休憩時間中などはどうかというこ とです。出張中については、これも使用者の支配下での労務の提供ですので、 やはり業務災害にあたります。これが業務というのは、感覚的に分かりやす い話かと思います。では、休憩時間はどうでしょうか。休憩時間中について も、労働者が出社して事業場施設内にいる限り、労働契約に基づき事業主の 支配管理下にあると認められます。そこで、このような場合にも、業務災害 にあたるのです。但し、私的な行為によって発生した災害は当然ながら業務 災害にはあたりません。  ところで、業務災害の典型例として怪我をあげましたが、疾病(病気)も 業務災害にあたることがあり得ます。例えば、長時間労働を続けていた労働 者が心臓疾患でなくなった場合に、過労死として業務災害にあたる場合があ ります。業務災害にあたるかどうかについて、疾病の場合には、業務と疾病 との因果関係が問題になります。次回は、この点について詳しく説明したい と思います。 ■□ホームページ更新情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 青春18キップ番外編〜山陰本線「さようなら余部橋梁」の旅        ホウネット経営塾 塾長・参与 立木勝義    青春18キップの発売期間でない7月9日から11日までの3日間を山陰本線の 旅にあてました。      http://www.kita-houritsu.com/?p=2193 ■□編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━  炎熱地獄のような毎日が続きますが、紫外線対策のため、帽子を着用し、サ ングラスで通勤し、裁判所に通っていますが、「弁護士らしくない」「不気味だ」と いう所内の声もあり、不評です。  10年前から、手持ちの鞄を使わずリュックサックを使っています。ゴルフで腰 痛になったため、体のバランスを考えたものです。私以外にもリュックサックで 法廷に来る弁護士はいますが、極めて少数派であることは変わりありません。 ビジネスシーンではスタイルは重要な要素ですが、快適さも大切です。  先日、沖縄の普天間基地騒音訴訟の判決の場面がテレビで放映されていま したが、国側の弁護士も含めて半袖のカラフルな開襟シャツやアロハシャツの ようなシャツを着用していました。ニューヨーカーは、スニーカーで通勤し、事務 所では革靴で仕事をするそうですが、暑い名古屋の夏では、事務所内では素 足にサンダルが一番。もちろん、相談室に入るときは、靴下を履いて靴を履いて 相談をお受けします。亜熱帯名古屋にふさわしい格好で行きましょう!                            (弁護士 長谷川 一裕)  当メールマガジンにご感想や御意見がございましたら、下記アドレスにて返 信してください。 ↓↓↓↓↓ご感想や御意見はこちらから↓↓↓↓↓          hounet-sme@kita-houritsu.com ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ 【中小企業メールマガジン】 中小企業メールマガジン No.9(8月3日発行) 発 行 日:月2回・月曜日発行(休刊:祝日、年末年始など) 創刊日:2010年4月5日 ↓↓↓↓↓本メールマガジンの登録はこちらから↓↓↓↓↓  hounet-sme@kita-houritsu.com ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【発行元】                             ======= 弁護士法人名古屋北法律事務所 =======   ======= 暮らしと法律を結ぶホウネット =======                                    ─┌──┐ 〒469-0819 名古屋市北区平安2-1-10 第5水光ビル   ─│\/│ TEL:052-910-7721 FAX:052-910-7727         ─└──┘ MAIL: hounet-sme@kita-houritsu.com        HP:http://kita-houritsu.com/ Copyright(C) 名古屋北法律事務所 All rights reserved.

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