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長谷川弁護士の豆電球

国民の立場からアベノミクスを考える(1)

2014年12月10日

 降ってわいた経済論議―アベノミクス選挙 奇妙なタイトルに聞こえるかもしれないが、弁護士も経営者の端くれである。最近は、急激な弁護士人口の増大から経営難に陥る弁護士も増えている。 さて、想定外の総選挙が始まり、選挙戦の真っただ中である。解散報道が流れ出したのは11月17日に7月-9月期の国内総生産のデータが公表される前であるが、事前に知らされていた可能性がある。民間エコノミストも軒並み「4-6月期は消費税増税の反動でやむなしだが、7-9月期は脱して少なくとも+成長」と予測していたから、安倍政権にも衝撃が走ったとされるのは当然かもしれない。 安倍総裁は、「アベノミクス選挙」と今回の総選挙を位置づけている。この争点の設定自体、与党の思惑であり、他にも安全保障政策、原発再稼働等の重要争点があることを覆い隠す役割を果たす狙いがあるかもしれない。しかし、ここは安倍さんの作る土俵に上がってみて、アベノミクスというものを考えてみたい。経済は門外漢なので、床屋談義と思って聞いていただければ結構だ。 日本社会の格差と亀裂を深めたアベノミクス 11月25日のNHKラジオ「おはよう日本」で評論家の内橋克人さんが、「経済栄えて、社会滅ぶ」という言葉を紹介していた。 アベノミクスで繁栄を謳歌している人たちがいる。 株価動向を示す日経平均は、2012年9月に8870円だったのが、14年9月には16374円 をつけ、続伸している。株でもうけた人たちはたくさんいるだろう。東証でこの間、買い越しているのは圧倒的に外国人投資家であるけれども、国内の大口投資家はアベノミクスの恩恵をたっぷり浴びている。特に大企業の中枢機能が集中する東京では、フェラーリ等の高級車が売れ、1億円のマンションがすぐに完売らしい。 大企業は、過去最大の利益を計上している。2013年の全法人企業(金融・保険を除く)の経常利益は、前年度対比で23%増、経常利益は60兆円を超え、リーマンショック前を上回る。企業内部の蓄積された内部留保は304兆円(2014年3月)になり、リーマンショック前の2008年3月比で32兆円増加だという。 その一方で国民の生活はどうだろうか。消費税増税や円安の影響で物価が上昇し、実質賃金が16ヶ月連続して下がっている。1998年と2013年を比較すると、株主の配当は3.5倍に増える一方で、従業員の賃金は1998年度水準を大きく割り込んでいる。 安倍さんは、雇用が改善されたという。確かに2013年は雇用者総数は50万人増えたが、増えたのはパート、アルバイト、派遣等の非正規雇用だけであり(前年比93万人増)、正規の雇用者は46万人減少しているのである。 深刻なのは、国民の中で貧困層がひろがり、そして固定化しつつあることだ。一例として「子供の貧困」をみたい。 小中学校で就学援助を受けている児童生徒は、1885年には約10%だったが、2012年は15.64%である。2012年にユニセフが実施した「先進国における子供の貧困の割合」の調査によれば、貧困世帯の子供、すなわち所得の中央値の二分の一以下の所得の世帯にいる子供の割合は、日本14.9%で国際経済協力機構加盟国=先進国と言われる国家35カ国の中で9番目に高い。母子世帯は50%以上が貧困に位置づけられる。 * この貧困ライン自体が、勤労者の所得の全般的低下の中で下がり続けていることに注意。1997年から相対的貧困ラインは低下し、年間130万円から110万円になっている(続く)。 弁護士 長谷川一裕

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