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事務所だより

~15周年特集 残業代請求事件 人材派遣社員の残業代請求

2016年10月11日

1 名古屋北法律事務所は15年の歴史の中で数多くの残業代事件に取り組んできました。弁護士事務所に持ち込まれる残業代事件は「残業代」は、タイムカードがきちんとそろっているような事件はまれで、立証に非常な困難を伴う事件を多数取り扱っています。今回は、私が弁護士になって翌年に行った人材派遣会社に勤務する労働者の残業代請求事件です。

2 人材派遣会社労働者の実態
人材派遣会社というと、派遣労働者に働かせて、派遣料で楽をしているというイメージだったのですが、その最前線で働く人は過酷な労働環境でした。例えば、急な派遣の依頼に対応するために、深夜まで登録をしている労働者に電話をして探したり、事業所を離れた際も携帯電話を家に持ち帰って対応をしなければならない、朝は朝で朝の弱い派遣労働者に対してモーニングコールをしたりしていました。また、派遣事業所と言っても、一人か二人しか配属されていない所も多く、一人で様々な業務をお粉和泣けばなりませんでした。

3 訴訟の経緯
交渉で解決をすることができず、訴訟を提起することになりましたが、その人材派遣会社は労働時間を全く記録をしていませんでした。裁判では、労働時間を立証することは原告である労働者の側が証明しなければなりません。そのため、労働時間を立証するため、①FAX、メールの送信時刻、②警備システムの記録時刻、③派遣労働者の手配資料等の資料を一つ一つ当たって、個々の労働日の労働時間を立証するようにしました。すべての労働日の労働時間の証拠があったわけではありませんでした。このような作業は弁護士だけでできるものではなかったので、当事者の方にも協力をしていただいて作成をしました。

4 判決
判決では、立証が難しかったこともあり、請求した金額のすべてを認容されはしませんでした。しかし、証拠資料に乏しい中で労働者の労働時間をどうやって証明していくべきかと言う点で工夫が求められた事件でした。

名古屋北法律事務所では所属弁護士が残業代請求事件に積極的に取り組んでいます。詳しくはこちら

弁護士 白川秀之

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