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事務所だより

くらしと法律をむすぶホウネットと生協運動 豆電球No.27

2007年5月28日

ホウネットと生協運動

「くらし法律を結ぶホウネット」の第4回総会が、5月19日、北医療生活協同組合の介護老人保健施設「わかばの里」で開かれました。土曜日でしたが、80名以上の会員の方に御参加いただき、盛況でした。御参加いただいた皆さんに改めて感謝申し上げます。
総会では、愛労連(愛知県労働組合総連合)の労働センターの所長である阿部精六さんに講演していただきました。
阿部さんによれば、07年度になってからの相談件数は既に450件にのぼり、昨年7月までの相談件数を4ヶ月で「達成」しているそうです。非正規雇用が 全労働者の3分の1を占め、フリーターや派遣労働者、さらにはカフェネット難民等、極めて不安定な雇用形態のもとで明日をも知れない人たちが生み出されて いる今日、まさに「駆け込み寺」となっている労働センターの役割が理解できました。
同時に、私は、阿部さんの「実直」「誠実」を絵に描いたような人柄に胸を打たれました。
阿部さんは、1958年3月に名古屋駅に降り立ち、木材関係の中小企業に就職し、間もなく労働運動に身を投じ、47年がたちました(1958年3月は私 が生まれた月でした)になります。木材不況の中で次々と工場が閉鎖される中で、労働者の雇用、暮らしをまもるたたかいの先頭に立ち、愛労連議長を退いた 後、労働相談所で相談活動を続けてきました。
「労働運動の闘士」というと、屈強なこわもての男性を想像されるかもしれません。しかし、阿部さんは、いつも笑顔を絶やさず、やさしい言葉で、しかし、 はっきりと自分の信念を述べる人でした。私が印象的だったのは、中小企業経営者に対する暖かい眼差しです。時には団交の相手として対峙しながらも、下請け 単価の切り下げや経済環境の激変に翻弄される中小企業経営者と連帯してこそ、労働者の未来は開かれるという固い信念を持ち続けてきた人だなと思いました。

今回の総会を医療生活協同組合の施設で開催させていただいたことは、私自身名、改めて、ホウネットの役割と今後の方向を考える良い機会となりました。
医療生協のホームページを見ると、医療生協は、「安心してかかれる病院、医療を願う人たちが集まって、病院・診療所を運営したり、医療の専門家と一緒に健康づくり」を目的として、市民自らが主体的に事業を行う経営方式ということです。北医療生協は、
1966年「にもしもの時に安心してかかれる病院、診療所が欲しい」「健康で長生きしたい」って言う377人の願いから誕生し、今では、名古屋市北区を中 心に約2万5000人の組合員を抱え、病院や診療所、訪問看護ステーション、介護系事業所を運営する医療生協に成長してます。
この運動のすばらしさは、市民が「良い病院、医師にかかりたい」という自分の要求を大切にしながらも、自分だけでなく「みんな」の健康を考え、「みんな」一緒に運動し、組織を運営していることです。一人ではできなくても、「みんな」で手を合わせれば実現できるのです。
生活協同組合の標語は、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」です。生協の運動は、1844年、イギリスで労働者たちがお金を出し合い、砂 糖、バターなどの生活用品の共同購入・販売を行ったことが、はじまりと言われています。前記の標語は、古代ゲルマン人の昔からの言い伝えとされ、特定の賢 人が考え出したものではないと見られるとのことですが、いつのまにか生協運動のスローガンとなったようです。
「ひとりはみんなのための みんなはひとりのために」ーこの精神は、格差社会と言われ、自分の金儲けだけが人々の至上の関心事項となりがちな今日の社会 で、ますます輝きを放っているように見えます。そして、この精神は、消費生活や医療だけでなく、司法の分野、市民の人権を守る運動においてこそ、発揮され なければならないのではないでしょうか。

ホウネットは、地域の方々と相談し、「市民に敷居の低い法律事務所」「信頼できる、かかつりけの弁護士を築城に」という趣旨のもと3年前に結成されました
会員の多くは、自分や家族の困り事、経営する事業に関わる法律問題等の相談に来られた折りに入会されますが、最近は知人の紹介やインターネットを見てホ ウネットに加入される方が増えているのが特徴です。会員は、お陰様で1000名を超え、増え続けています。まだまだ微力ですが、このホウネットを地域の人 々、心ある人々と一緒に一層広げていきたい、そんな思いを新たにした総会でした。

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