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事務所だより

普天間基地「移設」論議に思う 豆電球No.107

2010年3月8日

普天間基地「移設」論議に思う

鳩山内閣が、普天間基地の移設先について5月中に日本案を決定することをめざし、与党内で協議が続けられている。
普天間基地は、沖縄県宜野湾市にある米海兵隊基地であり、世界で一番危険な米軍基地と言われている。米国は、国内の基地については、基地の周辺にクリアゾーンというエリアを設け、同エリア内には住宅、学校、病院等の公共施設の建築を禁止している。ところが、普天間基地の場合、同エリアとされる地域に、多数の民家、小学校等が立地している。近くにある沖縄国際大学に米軍ヘリコプターが墜落した時効は、未だ記憶に新しいところである。
同普天間基地については、95年(だったと思う)に起きた米少女暴行事件(米海兵隊員3名による集団レイプ事件)の直後に起きた沖縄県民による激しい基地反対運動の中で、撤去の方向が出されたにも関わらず、未だに実現していない。
普天間基地については、民主党は、国外・県外移設を公約として総選挙をたたかつた筈である。それにも関わらず、現在の論議を見ているとキャンプシュワブ陸上案をメインとして県内移設を中心に検討が進められているが、これはおかしくないか。
普天間基地のような危険な基地は、国外撤去が当然だと思う。グアムに海兵隊を移転するのであれば、ヘリコプター基地もグアムに移転すればよい、というシンプルな提案でなぜ対米交渉を行わないのか。

岡田外相等は、さかんに抑止力ということを言っている。しかし、小沢幹事長自身、クリントン外相が訪日した時、「抑止力というなら第7艦隊だけで十分ではないか」と発言している。海兵隊は、防衛的戦力ではなく、攻撃用ヘリコプターで援護しつつ揚陸艦で敵前上陸したり、様々な侵攻作成を行う極めて攻撃隊な部隊である。米軍は、三つの海兵遠征軍を持つが、海外に基地を置いているのは日本だけである。なぜ、このような部隊が抑止力として必要なのか、にわかに納得しがたい。
鳩山内閣は、オバマ大統領に「トラスト・ミー」と言ったという。鳩山内閣が日米関係の重要性を最大限考慮していることは疑いを容れない。しかし、日米関係は、従属的な関係ではなく、対等であってはじめて真の友好関係となる。現在の日米安保の実像は、対等な国家同士の関係とは言えない。日本には、4万人近い米兵が駐留し、横須賀や佐世保の第7艦隊、沖縄、岩国の海兵隊、横田や三沢、嘉手納の空軍基地等が駐留している。世界に駐留する米兵は、冷戦終結後大幅に減ったのに日本では駐留数はさほど変化せず、むしろ質的に強化されている。
このような状況を打破するためにも、鳩山内閣は腹を据え「普天間基地は海外にて撤去されたし」と要求すべきた。簡単に妥結する訳はないし、一時的に対日世論は厳しくなるだろう。しかし、中国が台頭し、米国内の中国への警戒論は半端なものではない。日米関係を基盤としたアジア戦略は不動である。一時的に日米関係が動揺したとしても、長期的に見て対等な関係構築の足がかりとすることが重要だと思う。

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