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事務所だより

震災3 −日本政治の弱点− 豆電球№116

2011年4月8日

東日本大震災は、日本の社会の風景、政治経済の風景を一変させた。
震災直前、民主党政権は、前原外相の辞任、菅首相の外国人からの献金問題等で追い詰められ、政権末期と言われていたが、政争どころではない。
名古屋では、議員の給料を減らせ、減税だと言われ、3月12日の名古屋市議会議員選挙では減税日本が大躍進して過半数を取るのではないかと言われていたが(過半数には届かなかった)、今、行われている愛知県議会議員選挙では、「追い風」がやみ、「なぎ」の状態から失速し、近々行われる愛知6区の衆議院補欠選挙で初めての議席獲得をめざしているが、往事の勢いはない。
そもそも河村氏が率いる減税日本とかいう政党は、議会改革と減税以外は何の理念も政策もない集団であり、災害対策、原発問題等、直面する課題については、語るものを持たないのである。
困難に直面した時、真価が問われるのは人間だけではなく、社会や政治も同じである。今回の東日本大震災は、日本の政治の構造的な弱点を浮き彫りにすることになるだろう。

例えば、原発問題。
原発は安全だ、地球環境に優しいと言い続け、3割近い電力を未だ安全対策が未確立な原発に依存する体質を作り上げてきたことについて政治の責任が問われなくて良いのか。

原発問題を最も精力的に取り組んできたのは、日本共産党だ。
今では議席が減って影響力が低下しているが、70年代は大きな影響力を持っていた。70年代当時、この問題を鋭く追求したのは当時の書記局長であった不破哲三である。不破氏は、東大の理学部出身であることもあるが、核兵器問題とともにこの原発問題を重視していた。地震列島日本に原発を乱立させる自民党の増設計画を告発し、76年の国会質問では「日本国民の民族的な安全が危機に瀕する」と警告した。
今回の福島原発の事故は、電源喪失によって原子炉の冷却機能が失われたところに本質があるが、この問題をずばり予見して質問を行っていたのは、同党の吉井英勝衆議院議員である。
06年3月、同氏は予算委員会で質問に立ち、福島原発について、スマトラ地震で津波の高さが10メートルを超えたことを指摘しつつ、巨大津波を想定した安全対策を求めた。その質問の中で、長時間の大規模な海面低下による炉心の冷却機能の喪失が起こり、最悪の場合には炉心溶融による制御不能状態となる危険性を告発した。

私が言いたいのは、何も日本共産党を応援しようという意味ではない。政党政治の中で、健全な野党が一定の影響力を保持することの重要性、政治における少数意見を尊重することの重要性を指摘したいのである。

日本では、93年の政治改革以来、二大政党制こそがのぞましい政治の姿であると喧伝され、自民、民主の二大政党が政権交代を行うことが政治の前進であると言われてきた。しかし、その中でもたらされたのは、「民主党の第二自民党化」と呼ばれる現象である。

そして、今、二大政党制に有利な小選挙区の比率を高め、少数意見を更に国会から締め出す傾向をもたらす比例議席の大幅削減が行われようとしている。
これでは、日本の政治の前進はないと言わざるを得ない。

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