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事務所だより

ipodとモーツァルト 豆電球No.10

2006年3月10日

ipodとモーツァルト

正月に携帯音楽プレーヤーのipodを買い込んで音楽を聴くようになったことは、先日の豆電球で書いた。はじめは、Jポップを録音して聞いていたが、今はもっぱらクラシック、モーツァルトである。今年がモーツァルト生誕250周年ということもあるかもしれない。朝夕の通勤電車、裁判所の行き帰りの中で聴いている。

私の自宅には、夥しい数の音楽テープが収納ケースに仕舞われたまま埃を被っている。大学時代は、学生運動に明け暮れ、それに一区切りをつけた後は司法試験 にチャレンジというめまぐるしい時期だった。司法試験に合格した時に、無性に音楽が聴きたくなり、千駄木の4畳半の下宿に大きなステレオを買い込み、今は大阪で弁護士をしている先輩から次々とレコードを借りてきては録音し、聴いていた。自宅の収納ケースに眠っているのは、その時のストックである。司法修習生時代は、安月給だったが給料を貰えるようになったので、N響の演奏会等にも行った。マゼールがN響を振ったベートーベンの交響曲3番を聴いて体が震える ような感動を受けたことを覚えている。いろいろ聴いたが、モーツァルトが一番好きだった。澄み切った明るさ、シンプルな主題、躍動感等に惹かれた。天衣無縫という感じがする。

あれから21年間が経った。弁護士登録してからというもの、殆どクラシック音楽を聴くということもなかった。脇目もふらずに走り続けてきたということかもしれない。

そんな私を再び音楽に近づけてくれたのは間違いなくipodのおかげである。私の持っているのはipod nanoの2GBのものだが、何よりも小さくて軽い。ワイシャツの胸ポケットに入れても重みを感じない。その中に沢山の曲を録音でき、自分の聴きたい曲を聴きたい時に聴くことができる。そのipodのライブラリーの大半はやはりモーツァルトなのである。

1月23日には生誕250周年を記念してモーツァルト全集が発売された。CDは全部で180枚、全部揃えれば20万円以上もする。高いので躊躇していたが、我慢できず、とうとうインターネットの通信販売で買ってしまった。とはいっても、全部ではなく(20万円は余りに高すぎる!)、自分の好きなピアノ協奏曲(内田光子の録音が多いのも魅力)、セレナーデやディベルティメント等の分冊であるが。

それが、先週届いたので、自宅でも聴いている。
モーツァルトのいいところは、家族で楽しめることだ。モーツァルトの愛らしく美しい音楽は、どんな世代にも好まれる。さっそくセレナーデ13番のアイネク ライネナハトムジークをかけてやったら、次女(高1)と長男(小6)は、声を揃えて「給食の音楽だ」と叫んだ。小6の長男はピアノを習っているので(遅々 とした歩みで、ようやくソナタまで辿り着いている)、日曜日の朝などにピアノ曲をかけてやっている。
ピアノソナタは余り聴く機会はなかったが、全集のピアノソナタ分冊は全曲、内田光子なので購入して聴いてみた。10番、11番(トルコ行進曲入り)、15番等が気に入っている。

妻も一緒に聴いているが、関心があるのはモーツァルトの妻の悪妻ぶりや、モーツァルトを連れ歩いた父親のレオポルトのことのようで、「レオポルトがモーツァルトの生活を駄目にしたのか、それともレオポルトのおかげてモーツァルトは音楽の天才になれたのか」等という話をしている。

いずれにしても、ipodのおかけで再びモーツァルトを聴くようになり、それが縁で家族の話題が増えたことは事実なのであり、私は深くipodに感謝している次第である
(日本の対米従属に憤慨し、アメリカ外来のものを避け、マグドナルドも嫌いという当事務所のN氏もipodを使っている)。

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