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事務所だより

今月のけんぽう 14条 法の下の平等

2012年9月10日

今月は憲法14条1項です。

憲法14条は法の下の平等について規定しています。
法の下の平等とは、国民1人1人が等しく扱われなければならないという原則のことで、憲法の中でもとても重要な条文です。

憲法は基本的人権の尊重を規定していますが、特定の人だけ優遇したり差別したりと、人ごとに権利の保障の程度に差を設けては、基本的人権を守ることなど出来ません。

14条は、2項で「華族その他の貴族の制度は、これを認めない。」と規定して、戦前の明治憲法下で存在した貴族制度を廃止しました。
また、3項では「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」としています。現在の日本では勲章等を受け取っても戦前のような年金を受け取ったりする特権はなく、その人一代限りのもので子孫には受け継がれません。

憲法14条が問題となった事件として有名なのは、選挙における一票の格差が問題となった事件です。
これは、選出される議員1人当たりの人口(有権者数)が選挙区によって違うため、人口(有権者数)が少ない選挙区ほど有権者一人一人の投じる1票の価値は大きくなり、逆に、人口(有権者数)が多い選挙区ほど1票の価値は小さくなる問題です。例えば、1000人の選挙区Aで1人の議員を選出した場合と2000人の選挙区Bで2人の議員を選出した場合には、選挙区Aの有権者の票の価値は選挙区Bの有権者の2倍でとなり、選挙区によって一票の価値が異なってしまいます。
最高裁判所は、衆議院の場合で約2倍以上、参議院の場合では約6倍以上の差が生じた場合には、違憲状態になると判断していますが、混乱を避けるために選挙自体を無効とはしていません。
ただ、民主主義においては、国民の意見が政治に正確に反映されなければなりません。一票の格差を放置しているようでは、真に民主主義的な国とは言えません。

2012年9月10日
弁護士 白川秀之

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