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事務所だより

今月のけんぽう 19条 思想良心の自由

2012年11月5日

今月は、憲法19条です。
憲法19条は思想良心の自由を規定しています。
誰がどのような思想を持っているのかを個人が自由に決められなければ、自由な生活を送ることは出来ません。
憲法19条では思想良心の自由を規定して、内心にとどまっている限りはどのような思想を持っていても自由です。
また、特定の思想を持っていることで国から弾圧されないために思想内容を明らかにしない権利もあり、思想内容、思想内容を推認させる事項を明らかにすることを強制されることはありません。

戦前の明治憲法の下では、思想良心の自由がなかったため、治安維持法による思想弾圧事件がありました。現在の憲法ではこの反省から、思想良心の自由を規定しています。

しかしながら、最近、思想良心の自由を侵害した事件があります。大阪市の橋本市長は大阪市職員に対して 「労 、使関係に関する職員アンケート調査」に回答するよう業務命令として命じた事件がそれです。
調査では、職員の氏名、職員番号等を明示させた上で、政治活動や組合活動に関する質問に答えさせるものですが、 「市長の業務命令として」 、回答をすることを命じ、正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえる、として、職員に対し回答を強要するものでした。
同調査は、回答内容によっては職員個人がどのような思想内容を持っているのかを推認することも出来るもので、この回答を強制することはあってはならないことです。現在、アンケート調査の違法性を訴えて損害賠償を求める裁判が行われています。

2012年11月5日   弁護士 白川秀之

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